2024年7月から配信されているネットフリックスドラマ「地面師たち」。
ご存じの方も多いと思いますが、このドラマは実際に起きた事件をもとに製作されたものです。
今回はこのドラマで取り上げられている「地面師」についてご紹介します。
お持ちの不動産で心配な方や専門家のセカンドオピニオンを受けたい方はぜひ私たちにご相談ください。
地面師とは
地面師とは、不動産の本当の所有者になりすまし、詐欺のターゲットである買主にその不動産を購入させ、買主から代金をだまし取る詐欺師の集団です。
買主は不動産にかかるお金を支払っていますが、お金を支払った相手は売主に成りすました詐欺師なので、不動産を取得することはできません。
地面師は複数人のグループで構成されていることが多く、
- 物件の所有者役
- 物件調査役
- 司法書士役
- 代理人役
など、それぞれの役割を別の人物が担い、連携して詐欺を行います。
もちろん買主も本人確認を含め物件の調査を行ないますが、
地面師は登記簿謄本に書かれた不動産の所有者の情報を頭に入れて本人確認書類も偽造するので、地面師だとはなかなか見破られないようです。
地面師の被害に遭った不動産会社
詐欺というと、いまいち現実味がありませんが、実際に地面師の被害に遭った不動産会社は複数あります。
ここからは地面師の被害に遭った不動産会社の代表事例を紹介します。
地面師の被害にあった不動産会社①積水ハウス【ドラマの元ネタ】
ネットフリックスドラマ「地面師たち」の元ネタになった地面師事件に遭ったのが積水ハウスです。
JR五反田駅から徒歩3分、「海喜館(うみきかん)」という広さ600坪もある元旅館の土地をめぐって地面師詐欺事件が起こりました。
2017年の4月に手付金の15億円を、6月には48億円をだまし取られる、かなり大規模な詐欺事件です。
対象となった不動産は坪単価1,000万円以上で、大規模に開発できる希少な一等地として、不動産会社の間でも話題になっていたようです。
所有者になりすました女が、ブローカー※を通じて積水ハウスに話をもちかけました。
取引を終え、積水ハウスが所有権登記をするときになって、書類が偽物であることが発覚し、詐欺に遭ったことが判明したようです。
※宅建免許を持たずに不動産取引や物件紹介を行う人。
取引をすると違法だが、紹介だけでは違法とならない。
実はこの事件、本人確認書類として地面師の女の顔を写真に使ったパスポートを使っており、本人確認をきちんと行っていれば詐欺は防げたと言われています。
しかし、当時の社長が現地訪問して買い付けを指示した案件であったことや、
「相手はなりすましなので注意せよ」と取引に対する警告の文書が積水ハウスに複数寄せられていたにも関わらず「怪文書」としてスルーし続け、代金の支払いを行なったことなども報道されており、土地の魅力そのものにあらがえなかったことがうかがえます。
積水ハウスの地面師事件について紹介された記事(クリックで日本経済新聞へ移動)
地面師の被害にあった不動産会社②アパホテル
アパホテルが被害を受けたのは2013年。
赤坂に位置する約120坪の駐車場をめぐり、事件は起こりました。
アパホテルは代表が自ら訪問しホテル用地の買い付けを行う、積極的な土地仕入れ戦略が有名で、
土地仕入れに強みを持つ会社ですが、それでも地面師によって12億円以上をだまし取られています。
こちらの事件の場合は本来の所有者が亡くなっており、地面師が所有者の相続人に成りすましていました。
本人確認は住民基本台帳カードで行われましたが、これを含め必要書類が偽造されていました。
後に法務局が申請書類が偽造であることを理由に登記申請を却下し、
アパホテルは土地を取得することができませんでした。
地面師に騙される理由
不動産会社が地面師に騙されやすい理由の1つに、不動産所有者を装いやすい不動産取引の実態にあります。
地面師は買主に対して、本来の所有者を装うために
- 運転免許証
- パスポート
- 印鑑証明書
- その他公的書類
を偽造して提示します。
この偽造された書類は精度が高く、見破るのはプロでも難しいそうです。
また特に不動産会社が買主となる不動産取引では、
買主は利益を上げるためにどうしても物件を買わなければいけない、という事情があるために、
「買わせてもらう」という形で下手に出てしまうケースが多く、「買いたい」という気持ちも先行しがちです。
物件を仕入れる営業マンも自分の成績がかかっているため、「買いたい」という焦りから、本人確認などを十分にできていないことがあります。
物件確認を入念にすればよいのでは?という疑問もあるかもしれませんが、
不動産会社が取引を行う場合、物件調査は売主を交えないことが多く、本物の売主と不動産会社が顔をあわせないケースが大半です。
以上の理由から、不動産取引は詐欺に遭いやすい取引で、地面師に騙される確率が高いと言えます。
地面師に騙されないためのポイント
地面師に騙されないように、以下のポイントが当てはまる不動産取引には十分に注意しましょう。
①物件が長期間空き家や更地である、担保権の設定がない
物件が長い間手を付けられていない場合や担保権がない場合は要注意です。
本当の所有者と不動産会社が遭遇する可能性が低く、地面師もなりすましをしやすいでしょう。
担保権の設定がない=銀行からローンの借り入れがないということになります。
つまり銀行による本人確認が行われておらず、地面師に騙されるリスクが高まります。
②仲介業者がブローカーである
不動産取引を行う際は以前から付き合いがある業者など、馴染みのある業者を利用しましょう。
新規に取引を開始した仲介業者やブローカーは警戒が必要です。
地面師が不動産業者や司法書士を演じていることもあり、実態が不透明な業者は警戒した方が良いです。
東京空き家相談協会が提携している不動産業者は、会社・担当者・実績において、透明性・信頼性のある業者であるか厳正に審査しているので、ご安心ください。
③取引をせかされる、売主に合わせてもらえない
地面師が本来の所有者を装っている期間が長ければ長いほど、
詐欺がばれてしまう期間が長くなるため、地面師が関わる案件では決済を急かされるケースがよくあります。
不自然なほど急かされる場合には注意が必要です。
また買主が売主に会いたいと伝えているのに理由をつけて会わせてもらえない場合にも警戒しましょう。
騙されたくない・セカンドオピニオンをしたい方はこちら
先述した事件でもそうでしたが、どんなに知識が豊富で優秀な方でも地面師に騙される可能性はあります。
ひとりで不動産取引を行うことはせず、可能であれば専門家の意見を仰ぎましょう。
東京空き家相談協会では専門相談員による無料相談を受け付けており、不動産業者や弁護士、司法書士、税理士といった専門家が提携していることによる柔軟なサポートが強みです。
また、すでに不動産業者などに相談したあとのセカンドオピニオンも受け付けておりますので、是非ご活用ください!