解体工事を考えているけど、クレームや近隣トラブルの発生が気になりますよね…
損害賠償請求の発生理由や物損事故の事例を知って、事前に対策しておきたい方も多いはずです。
- 迷惑料とは?解体工事の物損事故例
- 解体工事の前にチェックすべきこと
- 解体工事トラブルの回避方法
解体工事の迷惑料とは?
- 迷惑料とは
- 相手に迷惑をかけたという名目で、お詫びとして贈られる金品のことです。
- 正式な法律用語ではなく、損害賠償に含まれていません。
解体工事では騒音や振動、粉じん、迷惑行為などで近隣に迷惑をかけてしまうことがあります。
しかし工事依頼者が迷惑料を支払うことはほとんどありません。
追って実際の事故の具体例でも解説しますが、近隣住民の建物を破損してしまったり間違ってガス管などを切断してしまったりなど、重大な過失事故を起こした場合は、解体工事業者が入っている保険で支払うことになります。
解体工事で迷惑料が生じる例
実際に迷惑料が生じる例は、以下が挙げられます。
- 迷惑行為
- 違法駐車
- 騒音・振動
- 粉じん
それぞれひとつずつ解説します。
迷惑行為
国が決めた騒音規制の基準にて、以下の作業が禁止されています。
- 午後7時からの作業
- 午前7時からの作業
- 10時間以上継続した作業
- 6日以上継続した作業
- 日曜や休日の作業
規制を守らずに解体工事を進めると、訴えられることがあります。
違法駐車
解体工事中は重機を駐車する必要がありますが、現場の敷地が狭いなど、解体現場によっては工事依頼者の敷地内に駐車できないこともあります。
このような場合、業者は道路使用許可を申請・取得して道路に停車します。
騒音・振動
解体工事につきものの影響といえば、うるさいことです。
解体に限らず、近所で何かの工事があると「工事のお知らせ」なる通知が投函されることがあります。
紙での説明もありますが、解体工事前に近隣へ挨拶をし、近隣住民に工事への協力を仰ぐ業者もいます。
- 解体工事前に養生シート(防音シート)を使い、音量を下げる
- 事前の声かけを忘れない
上記のように、解体工事のやり方を見れば、どれだけ近隣住民に配慮できる業者であるか判断できます。
粉じん
これもついて回る問題ですが、解体工事では建物を砕く際、ホコリや粉塵が舞い散ります。
支払い義務の如何
損害が生じた家の損害賠償を負うのは解体業者となります。
ただ注意しておきたいことは、工事依頼者が損害を賠償する責任を問われることはゼロではないということです。
民法716条によると、依頼者に「過失」があった場合は依頼者も責任を負うことになります。
民法716条(注文者の責任)では、以下のように記載されています。
出典:民法716条(注文者の責任)
出典:民法716条(注文者の責任)
たとえば、解体工事費用を安く上げるために無理なスケジュールで発注した時、トラブルが起きたときは工事依頼者が迷惑料を支払わなければいけなくなります(追ってスケジュールの解説もしています)。
このほか、以下のケースで過失ありと判断され、解体業者と連帯で損害賠償義務を負うことになります。
- 振動被害が起きると分かっている方法で施工を進める
- 振動による被害が起きていることを認識していたが工事を続けさえた
業者に迷惑料を請求できるか?
解体工事依頼後、解体業者が家の敷地内にタバコの吸い殻やゴミをポイ捨てされたなどトラブル事例があるようですが、
実際の物損事故例と支払い事例
責任の所在が工事業者にあろうと発注者にあろうと、解体工事現場で起こる第三者に対する賠償責任は、損害額が大きくなる危険を孕んでいます。
物損に絞った事例ですが、規模次第では100万単位にも及び、決して軽視できません。
埋設されていた給水管を誤って破損させた
保険金支払額:1,628,000円
解体作業中に重機が隣家に当たり、壁を壊した
保険金支払額:847,000円
作業中、隣家の壁・パイプなどを破損
保険金支払額:348,000円
解体作業中、現場付近の停めていた車に破片が飛び、破損
保険金支払額:438,000円
解体作業中、隣家のフェンスを壊した
保険金支払額:782,000円
ユンボでコンクリート解体中、隣のブロック塀を引っ張り破損
保険金支払額:2,328,000円
屋根材の剥がし作業中、養生シートを誤って破り隣の駐車場に停車中の車に落下させ破損
保険金支払額:228,000円
解体作業中、付近のブロック塀を破損
保険金支払額:624,000円
解体作業中、解体予定のない壁を壊した
保険金支払額:1,273,000円
トラブル回避方法
上記のように、解体工事でトラブルが起こったらたまったものではありませんよね。
次項より、トラブル回避のために欠かせない対策をご紹介します。
業者選びは慎重に
依頼する解体業者が、以下の「許可」や「保険」を持っているか確認することで、信用できるか判断できます。
業者を選ぶ際に必要な「許可」
- 建設業許可
- 解体工事登録
- 損害賠償保険
解体業者の多くは損害賠償保険に入っており、解体工事によって損害が生じた場合、解体業者が入っている保険で賄います。
しかし業者のなかには損害賠償保険に入っていない会社も存在します。
施工を依頼する前に、業者が損害賠償保険に入っているか必ず確認し、同時に…
近隣挨拶をする
なぜかというと、解体工事は近隣への影響が大きいからです。
1週間前に、解体工事することを伝えておけば、近所の人も準備ができます。
近隣へ挨拶をする際に、以下のように1世帯あたり500円程度の物を渡すのが一般的です。
- タオル・スポンジなどの日用品
- お菓子・ジュースなどの飲食物
高い物ほど気持ちが伝わるわけではありません。
相手に「お返しを買わなくては」と思わせないように、気軽に受け取ってもらえる粗品を選びましょう。
可能であれば解体業者と一緒に予定を調整して近隣挨拶をすることを推奨します。
業者と一緒に挨拶すれば、近隣住民からの質問にも回答してもらえて安心してもらえます。

近隣の方に「工事開始前は挨拶にきたのに」とやんわり言われました。
そして工事終了後「車に粉がついていた」といちゃもんをつけられました…。
このようなトラブルに発展することもあるため、合わせて工事完了後にお礼のご挨拶をすると、近所との良好な関係づくりにもつながります。
こちらも、解体業者と一緒に挨拶することを推奨します。
見積書をよく確認する
なぜかというと、解体工事トラブル対策をしている業者は、工事依頼者とも金銭トラブルが起きないよう配慮しているため、明瞭会計の見積書を出してくれるでしょう。
また、地中の埋設物など着工後に追加料金が発生する可能性があれば説明してくれたり、解体工事で不明点があるときも丁寧に教えてくれるはずです。
見積もり提出時の対応を見て、信頼できる業者であるか判断しましょう。
現場の確認をする
近隣トラブルが不安であれば、解体工事の現場を確認しましょう。
優良な業者は、近隣トラブルに発展しないよう、さまざまな対策がとられます。
- 近隣住民へ配慮するための養生シート(防音シート)を設置しているか
- 解体作業禁止時刻に作業を行なっていないか
- 解体前に散水し、粉じん対策をしているか
工事依頼スケジュールに余裕をもたせる
解体工事を依頼する時は余裕をもったスケジュールで依頼しましょう。
損害賠償責任を負う について述べた解説通り、解体工事を短期間で依頼した場合には、工事依頼者側の損害賠償を請求される可能性があるためです。
解体工事がどのくらいで終わるか、平均期間を確認し、計画を立てていきましょう。
解体工事の検討にあたり、スケジュールや見積もりが知りたい方は、複数の解体業者とも連携している当協会にご連絡ください。
エリアや希望スケジュールに合ったプランをご提案させていただきます。
提携会社にて解体費用立替えサービスも展開
当協会にご相談いただくと、提携先の解体工事会社にて「解体費用立替えサービス」もご案内可能です。
詳しく知りたい方はお気軽なご連絡お待ちしております。