空き家ジャーナル


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空き家の相続放棄とは?放棄後の空き家の管理義務は誰に?

更新日:2023年8月25日

 

空き家の相続放棄とは、遺産相続において所有する空き家の負担を回避する方法のひとつです。

遺産相続による空き家の維持には複雑な手続きや費用がかかることがありますが、相続放棄を選ぶことでこれらの問題を解決できます。

今回は相続放棄の詳細や手続きのポイントについてご紹介します。

 

 

 

空き家の相続放棄のメリットとデメリット

空き家の相続放棄にはメリットとデメリットが存在します。

メリットとデメリットをご自身の状況に合わせて天秤にかけること、そして専門家のいる窓口に問い合わせることが肝心となります。

 

空き家の相続放棄をするメリット①不動産の固定資産税を支払わずに済む

固定資産税とは、毎年1月1日時点における登記簿上の不動産所有者に対して課されます。

したがって、不動産を相続すると固定資産税が毎年かかるようになりますが、相続放棄をすれば、不動産を相続せずに済むため、固定資産税を支払う必要もありません。

使い勝手の悪い不動産については、固定資産税の負担が重くなりがちなので、相続放棄も有効な選択肢といえます。

 

空き家の相続放棄をするメリット②被相続人の借金を背負わなくて済む

被相続人に多額の借金があった場合、相続放棄することによって、相続人が負担する必要がなくなります

借金の引継ぎはご自身の経済的・精神的負担につながるため、こちらはかなり大きなメリットといえます。

 

空き家の相続放棄をするメリット③相続トラブルに巻き込まれなくなる

相続放棄をすることによって、相続人同士による遺産分割協議に参加しなくてもよくなります

兄弟間による話し合いからトラブルに発展し、遺産や不動産の相続がなかなか進まなくなるケースも多いため、
それが一切ないことはストレスの軽減につながります。

一方で、将来的な資産価値の可能性を捨てることになるデメリットも考えられます。

 

空き家の相続放棄をするデメリット①財産を相続できない

実家の土地・建物、形見の宝飾品など、思い入れのある遺産があったとしても、相続放棄をした場合は相続できません

 

空き家の相続放棄をするデメリット②相続権の移動によるトラブルのリスク

相続放棄をした場合、後順位相続人に相続権が移る場合があります。

例えば、被相続人の子どもが全員相続放棄をしたため、被相続人の父母に相続権が移る、といったケースです。

後順位相続人に対して、相続放棄をした旨を伝えることで、後順位相続人自身が相続人となったことを知ることができ、相続放棄をする機会が得られます。

 

空き家の相続放棄をするデメリット③死亡保険金・死亡退職金の非課税枠が適用されない

相続放棄をした方が、被相続人の死亡保険金・死亡退職金を受け取った場合、相続人には適用される非課税枠が適用されません

その結果、納めるべき相続税額が増えてしまうおそれがあります。

非課税限度額については、次の計算式で算出することが可能です。

非課税限度額=500万円×法定相続人の数(相続放棄をした人もカウントする)

 

空き家の相続放棄をするデメリット④相続放棄の撤回は原則不可

一度相続放棄の手続きをすると、詐欺や強迫などがあった場合を除き、後から相続放棄を撤回することはできません

相続放棄をした後に「あの遺産や宝飾品が欲しかった」と思っても、もらう権利はありません。

空き家の相続放棄をしても管理責任は残る

従来の法律では、相続放棄後の管理義務の対象者は曖昧でした。もし子ども全員が相続放棄をした場合、最後に放棄した相続人が遺産を管理しなければならなかったのですが・・・

2023年4月から施行された改正民法により責任者が明確化されました。

民法940条 相続の放棄をした者は、その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは、相続人又は第九百五十二条第一項の相続財産の清算人に対して当該財産を引き渡すまでの間、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産を保存しなければならない。(条文より引用)

「現に占有」=「事実上、支配や管理をしている」状態を指しており、例えば、被相続人の自宅に被相続人と一緒に暮らしていた相続人が管理義務のある方にあたります

 

空き家の相続放棄の手続きのポイント

相続放棄手続きは、【被相続人の最後の住所地の家庭裁判所】にて申述書を提出する必要があります。

また、被相続人の住民票除票または戸籍附票や申述人(相続放棄する方)の戸籍謄本といった、市役所での発行が必要な提出書類もあるためご注意ください。

 

裁判所の公式サイトでは、詳細が載っているのでご確認ください。(クリックで移動)

申述書の様式や記載例も載っています!

 

空き家の相続放棄を考える際のポイント

空き家の相続放棄を検討する際には、家屋の状態や周辺環境、将来的な利用可能性などを考慮することが大切です。

また、相続放棄の代替案として売却や賃貸などの選択肢も検討しましょう!

最良の選択をできるようにするため、私たち東京空き家相談協会では相続以外にも、売却や清掃、解体、土地活用や不動産活用などさまざまなご相談を受け付けております。

 

空き家の相続放棄に関する疑問や不安を解消し、スムーズな遺産相続のプロセスをサポートしています。
ぜひご連絡お待ちしております!

 

何から話せばいいか分からない方でも大歓迎!

この記事を書いた人

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一般社団法人東京空き家相談協会

小峰千波

当協会には相続の専門家が所属・監修しております。 - 学生時代からまちづくりに関心があり、地元をはじめとした地域活性化活動や環境経営に携わっていた。 故郷の過疎化を感じ、人が生きやすく集いやすい環境づくりがしたいと感じ、 現在は一般社団法人東京空き家相談協会の相談員として、ご相談者様に寄り添ったサポート活動をしている。 自然と動物が好きです。