親や祖父母の代から受け継がれるお墓や実家。
以下のような理由で承継したくないという方もいらっしゃると思います。
- 遠方にあるため管理できない
- 管理や維持のコストが金銭的負担になる
そこで今回はお墓を相続放棄できるのか、また墓じまい・実家じまいではどのようなことをするのかを解説していきます!
相続前後で少しでもお困りごとがある方は、拠点の関東から全国で活動している東京空き家相談協会へご連絡ください。
お墓の相続は放棄できる?
家族から引き継がれる相続財産は相続の発生を知った時から3か月以内に相続放棄の旨を家庭裁判所に届け出ることで、
相続する財産の一切を放棄できます。
ただし、お墓に関しては相続放棄の対象にならない場合があります。
お墓など先祖の祭祀に関係するものを「祭祀財産」といい、民法では以下3種類がこれに該当します。
- 系譜(家系図など)
- 祭具(仏像や位牌など)※
- 墳墓(墓石、墓碑など)
※祭具に当てはまる道具は宗教によって違います
祭祀財産は相続財産に当てはまらず、民法上は祭祀承継者が引き継ぐことになっています。
祭祀承継者に選ばれた方は権利を放棄したり、辞退したりすることはできません。
つまりお墓の相続放棄は不可能ということです。
ただし祭祀承継者は相続人である必要はありませんし、相続人が承継したとしても相続税を支払う必要はありません。
祭祀承継者はどのように決まるのか?役割も解説
祭祀承継者は以下の優先順位で決まります。
- 遺言などによる亡くなった人の指定
- 家族間での話合いや地域の慣習
- 裁判所の調停や審判
遺言などで決まる場合は相続人が祭祀承継者となるケースが多いと思いますが、
相続人以外でも祭祀承継者になることができ、複数の祭祀承継者を指定することも可能です。
ただし、墓地や霊園によっては、墓地使用権の承継に「使用者の親族」などの条件を設けている場合もありますので、
祭祀承継者を選ぶ前にお墓の使用規則を確認しましょう。
なお、祭祀承継者には以下の役割があります。
- お墓や仏壇など祭祀財産の維持管理
- 法要などの実施
- 遺骨やお墓の管理処分方法の決定
祭祀承継者はこれらを行うことが義務付けられているわけではありませんが、
お墓の維持管理のための費用を払ったり、親族を集めての法要を主催したりという役割を要求されることが多いでしょう。
お墓を承継する手続き
祭祀承継者が決まったら、お墓のある霊園やお寺に連絡し、名義変更の手続きをします。
管理するお墓によっても異なりますが、一般的に名義変更には以下の書類が必要です。
- 墓地使用権を取得した際に発行された書類(墓地使用許可証、永代使用承諾証など)
- 承継の理由がわかる書類(先代の祭祀承継者の死亡が記載された戸籍謄本など)
- 祭祀承継者の戸籍謄本や住民票
- 祭祀承継者の実印と印鑑登録証明書
これ以外にも遺言書や親族の同意書など、祭祀承継者であることを証明する書類を求められることもあります!
お墓の管理ができない場合はどうする?
祭祀承継者に指定されたけどお墓の管理ができない・・・
そんな場合には次の2つの方法で解決を図りましょう。
対処法①墓じまいする
墓じまいとは、お墓を解体・撤去して更地にし、使用権を墓地の管理者に返すことです。
墓じまいは祭祀承継者の権限で行うことが可能です。
ただし手続きが複雑で改葬許可申請という行政手続きや墓地使用契約の解約、墓石の撤去などが必要なため、
墓じまいには多くの費用がかかります。
対処法②自宅近くにお墓を移転する
お墓の所在地が遠すぎて管理できないという場合には、自宅近くにお墓を移転すると良いでしょう。
この場合にも遺骨を移転する場合は、改葬という行政手続きをしたり、
移転先のお墓を購入したりと、かなりの時間と費用がかかります。
墓じまいと同様に、実施するかは慎重に判断しましょう。
お墓だけでなく実家も!実家じまいとは
お墓じまいとよく似たものに実家じまいというものがあります。
こちらは文字通り実家を処分するための方法で、親が他界したり、施設に入所した場合に行われることが多いです。
実家が空き家状態となることを防ぎ、余分な費用の出費を抑えるメリットがあります。
実家じまいの方法4ステップ
実家じまいを行う際は4つのステップに沿って行うと良いでしょう。
ここでは実家じまいをスムーズに行うための4ステップを紹介します。
ステップ①最終的にどのように処分するか決める
実家を売却する・・・解体して活用する・・・
まずは実家を最終的にどう処分するか決めましょう!
実家を所有している両親などがご存命の場合は、一緒に話し合うのがベストです。
ステップ②実家を整理する
ここでは生前整理と遺品整理で対応が異なります。
親御さんが施設入居する場合などは、施設に持ち込むものと処分するものの選別が必要です。
遺品整理の場合は形見分けなどで残すものを分別したり、不用品を処分します。
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ステップ③専門家に相談する
相続に関する相談は司法書士や税理士、売却に関する相談は不動産業者に、といった形で、実家に関する相談を必要に応じて専門家に行いましょう。
しかし相談口を増やすほどに、そこにかかる負担がかかります。
当協会では、相続から不動産の今後について、ワンストップで解決まで伴走サポートできます。少しでも迷っている方は、ご連絡お待ちしております!
ステップ④実際に手放す
ここまでの作業が終了したら、実家を手放しましょう。
実家じまいにはある程度の日数や費用が必要になるため、早めの準備が大切です。
具体的にどれくらいの費用がかかるのかについては、
次の章で紹介していきます。
実家じまいにかかる費用
実家じまいには、実家の売却費用や解体費のほか、
実家の片づけを業者に依頼した場合には実家の片付け費用が発生します。
実家の片付けにはおおむね以下の費用が必要です。
間取り | 料金相場 | 作業人数 | 作業時間 |
1R・1K | 3~8万円 | 1~2名 | 1~2時間 |
1DK | 5~12万円 | 2~3名 | 2~4時間 |
1LDK | 7~20万円 | 2~4名 | 2~6時間 |
2DK | 9~25万円 | 2~5名 | 2~6時間 |
2LDK | 12~30万円 | 3~6名 | 3~8時間 |
3DK | 15~40万円 | 3~7名 | 4~10時間 |
3LDK | 17~50万円 | 4~8名 | 5~12時間 |
4LDK以上 | 22~60万円 | 4~10名 | 6~15時間 |
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今回のように、「相続放棄できるもの・できないもの」を調べながら、計画的に行なっていきましょう!
当協会では弁護士・司法書士・税理士といった相続に関する専門家が在籍しており、相続や税金に関するお困りごとを解決できます。
それだけでなく、実家や空き家の管理、活用、売却、買取といった幅広いご相談もまとめて解決できますので、ぜひお声がけください!