2024年の年頭にあたり、謹んでご挨拶申し上げます。
元日に発生した能登地方を震源とする大地震で被災された方々に、
心からお見舞いを申し上げますとともに、一刻も早い復旧をお祈り申し上げます。
多くの方の住むところを奪った大地震。
今回は地震による家屋倒壊を防止するのに役立つ、耐震等級についてお話しします。
耐震等級とは?
耐震等級とは、2000年に施行された「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」に基づく、耐震性の判断基準です。
等級1から3まで存在し、数字が大きくなるほど耐震性が高まります。
等級2は等級1の1.25倍、等級3は等級1の1.5倍耐久力があり、
地震にも強くなりますが、耐震性を上げるために柱や梁が大きくなり、窓などの開口部が小さくなるというデメリットもあります。
次項からは、各耐震等級に関して解説していきます。
耐震等級1
耐震等級1とは簡潔に述べると新耐震基準を表しています。
したがって1981年6月以降に建てられた物件は少なくとも等級1以上あると言えるでしょう。
等級1を満たしていれば、次の状態は担保されていると言われています。
・数百年に一度程度の地震(震度6強から7程度)に対しても倒壊や崩壊しない
・数十年に一度発生する地震(震度5程度)は住宅が損傷しない程度
注意すべき点は震度6強から7の大地震に対しても「倒壊や崩壊しない」という部分です。
「倒壊や崩壊しない」=ノーダメージというわけではなく、損傷はするという意味合いとなっています。
耐震等級2
耐震等級2は耐震等級1に比べて1.25倍の強度があります。
住宅ローン控除を受けるための「長期優良住宅」の基準を満たすためには、耐震等級2が必要です。
災害時に避難できる場所においても、耐震等級2は必須であり、学校や公共施設は耐震等級2以上の耐震性を有しています。
耐震等級3
耐震等級1の1.5倍もの強度を誇る耐震等級です。
大きな地震が来てもダメージが少なく、地震後も安心して居住することができます。
消防署や警察署など、災害時に復興の拠点となる施設は耐震等級3で建設されます。
地震に耐える家を建てるなら
建物の耐震性は次の要素に影響されるものです。
①建物の重さ
建物や屋根が軽いほど、地震の揺れに対しての振幅が小さくなります。
②耐力壁
地震や風で生じる横からの力に抵抗できる壁のことです。
耐力壁が多いほど耐震性に優れていることになります。
③耐震金物の配置場所
柱と柱の間に入れる金属製の部材で、バランスよく配置される必要があります。
④床の耐震性能
地震などで床に組んだ水平構造がダメージを受けると、建物が歪むリスクがあります。
そのため、耐震性を高めるには床の耐震性能に気を配る必要があります。
このことから、耐震等級の高い建物を作るなら、次のような手段をとるべきでしょう。
・筋交いを入れる、構造用合板や耐力面材を使用する(壁の強化)
・床に構造用合板を張る(床の強化)
・集成材など強度の高い材を使う、金物工法によって木材加工を減らす(梁の強化)
まとめ
耐震等級が高い建物を建てるためにはより大きな金銭負担が求められます。
しかしながら、自分や家族の命を守るためにも、耐震等級の高い建物を建てることは必須といえるでしょう。
実際に2016年に起きた熊本地震でも、耐震等級3の木造家屋には倒壊が見られなかったというデータがあります※。
※下記図参照。国土交通省より。
既に家を持っている方も、改めて耐震強化に取り組むべきではないでしょうか。