2024年4月から、不動産の相続登記が義務化されます。
これにより、不動産の相続を知った日から3年以内、または2024年4月1日から3年以内に相続登記をしなければ、10万円以下の過料を課せられる可能性があります。
今回は相続登記に関する詳細や相続登記義務化の意義についてお話しします。
このコラムのポイント
・相続登記は所有者不明の土地をなくすため、義務化された
・相続登記を一定期間以内にしないと、過料を課せられる場合がある
・相続登記義務化に伴い、住所変更登記の義務化も行われる
・相続登記や相続不動産の売却が難しい場合は、相続人申告登記・相続土地国庫帰属法の利用を検討しよう
相続登記が義務化されたわけ
法務省の地籍調査によると、所有者のわからない土地は全国で2割以上存在し、その約66%で相続が、約34%で住所変更が登記されていなかったそうです。
このように相続登記などが行われなかった原因の1つに、相続登記をするメリットがなかったということが考えられます。
特に地方の物件では戸籍代や登録免許税を支払い、登記に司法書士への費用を支払って相続登記をしても、売却は進まずに固定資産税などの税金が毎年課せられる、というデメリットばかりで、相続登記を放置する人が増えました。
相続登記がされない物件は所有者不明となって売却などが進まず、所有者を探そうにも数次相続が発生していて所有者を把握できないという問題も起きてしまい放置されるものになってしまいます。
実際、当協会にも「数年前まで相続登記を進めていたが、30万円以上の費用がかかることを知りやめてしまった」とご相談いただくこともあります。
そうした状況を打破するため、土地の流動化を狙い、2024年4月からは相続登記が義務化されるのです。
義務化が始まってからは、不動産の相続を知った日から3年以内、または2024年4月1日から3年以内に相続登記をしなければ、10万円以下の過料を課せられる可能性があります。
無駄な罰金を防ぐためにも、必ず相続登記を行いましょう。
相続登記義務化に伴い生まれた制度
相続登記の義務化に伴い、相続登記にかかわる登記の義務化や、諸事情により相続登記が難しい人を保護する制度が生まれています。
ここでは上記のような、相続登記義務化に伴い生まれた制度について解説します。
相続登記義務化に伴い生まれた制度①住所変更登記の義務化
相続登記の義務化に伴い、登記上の住所変更登記も義務化されます。
こちらも所有者不明の不動産が増加する一因となっていたため、今回義務化される運びとなりました。
住所変更登記の時期は、住所変更してから2年以内に行わなければならず、これに反すると5万円以下の過料を請求される場合があります。
相続登記義務化に伴い生まれた制度②相続人申告登記
相続登記をすべき期限までに遺産分割協議が完了しない場合、過料を支払う・・・というのは大変不公平なため、相続人申告登記という制度が生まれました。
最終的な相続登記は改めて申請することにし、いったん相続人が登記官に対し、登記名義人に相続が発生したこと、自らが登記名義人の相続人である旨の申請を行うことで、相続登記の義務を果たしたという扱いにすることができます。
相続登記義務化に伴い生まれた制度③相続土地国庫帰属法
相続によって取得した不要な土地が放置される事態を防ぐべく、2023年4月27日から相続土地国庫帰属法が施行されました。
一定の条件を満たした土地について、法務大臣に申請し、10年分の管理費相当額を納付することで、所有権を国庫に帰属させられるようにすることができる制度です。
相続登記に必要な書類と費用
相続登記に必要な資料は相続の方法によっても変化しますが、必要書類は以下の通りです。一覧で見るとその多さが分かりますね・・・。
・登記申請書
・被相続人が生まれてから死亡するまでの戸籍謄本
・被相続人の住民票の除票(本籍地の記載のあるもの)
・相続人全員の戸籍謄本・抄本
・不動産を取得する相続人の住民票の写し
・相続不動産の固定資産税評価証明書
・相続人の委任状(代理人が申請する場合)
・相続関係説明図
・遺言書(遺言書による相続の場合)
・遺言執行者の印鑑証明書(遺言執行者の指定がある場合)
・特別受益証明書および印鑑証明書(特別受益者がいる場合)
・相続放棄申述受理証明書(相続放棄した人がいる場合)
・遺産分割協議書および相続人全員の印鑑証明書(遺産分割協議をした場合)
・印鑑証明書
他にも追加で必要な書類がある場合もありますので、詳細は法務局ホームページで確認しましょう!
直接専門家に相談するのが億劫な方へ
直接司法書士や行政書士に依頼をするのが億劫な方は当協会にご相談ください。
相続登記申請には次の費用がかかりますが、
専門家への依頼費用(報酬額)は事務所によってまちまちです。
登記申請の書類など | 書類の取得費用など、代金 |
登記事項証明書 | 800円~2000円 |
戸籍・住民票・評価証明書 | 2000円程度 |
登録免許税 | 固定資産評価額×0.4% |
司法書士への依頼費用 | 15万円~30万円 |
平均報酬額はあるものの、依頼する専門家によって相続登記手続き代行の報酬額が違うためです。
当協会では相続登記手続きを依頼できる専門家と多数提携しており、提携内外から一括見積をし、最安値かつ相談者様の相続の難易度によって適切な専門家をご紹介しております。
お問合せフォームはこちら
または以下からご相談ください!
電話番号➡ 03-6258-0496
メール➡ message@tokyo-akiya.info
東京空き家相談協会にいただいた相続登記に関するご質問
当協会では空き家の解決だけでなく、相続登記に関してもご質問・ご相談をいただいております。いただいたご質問をもとに空き家ジャーナルを更新しましたので、併せてご一読ください。
当協会にいただいた相続登記に関するご質問①相続登記していないけど実家を撤去できますか?
一定の条件を満たせば撤去(解体)できます。
相続人全員から合意を得た場合にのみ、相続登記をせずに建物解体を行なうことが可能です。
以下の空き家ジャーナルにて、注意点や相続登記しないで解体する時の流れについて詳しく解説しております!
当協会にいただいた相続登記に関するご質問②住む予定のない実家を相続することになりました。何か方法はありますか?
一般向けへの売却、不動産買取業者への売却だけでなく、土地のエリアや特徴によって活用方法は様々です。こちらでご紹介しておりますので、ご一読ください!
当協会にいただいた相続登記に関するご質問③実家の持ち主である親が認知症になってしまいました。このまま実家の売却を進められないって本当ですか?
本当です。売却やそのための相続も進められますが、認知症でない場合と比較して全体の工程が増えるイメージです。
といいますのも、認知症は「意思能力がない」とみなされ、売却など法律行為が行なえないため、司法書士や弁護士といった専門家が介入する必要があります。
以下で詳しくご紹介しておりますので、ぜひご一読ください!
当協会にいただいた相続登記に関するご質問④戸籍謄本の取得難しくない?
本籍地から離れた場所に住んでいる場合、戸籍謄本を取得するのは大変ですよね。
郵送で取得可能です。方法は以下で詳しく解説しております!