家の建築にあたり、素材や構造でも特徴はさまざまです。
その違いこそが住宅や建築のおもしろいところでもあります。
そのなかでも本記事では鉄骨造の住宅について、以下を解説します。
- 鉄骨造住宅の耐用年数
- 寿命を左右する要素
- 住宅ローンに影響する要素
- 鉄骨造住宅の売却方法
鉄骨造の耐用年数は?
- 耐用年数とは
- 住宅の資産価値を把握するためのひとつの指標。
- 本来、減価償却資産が利用に耐える年数のことをいいます。
- 建物の寿命と勘違いされやすいですが、耐用年数を超えた=住めなくなる というわけではありません。
資産は使うほど物理的な消耗が蓄積されるため、使用期間にしたがって価値は下がっていくという考え方に基づき、国税庁が定めているものです。
建物の構造 | 住宅の耐用年数 | 事務所などの耐用年数 |
鉄骨鉄筋コンクリートもしくは鉄筋コンクリート造 | 47年 | 50年 |
金属造で鉄骨の厚さが4mm超 | 34年 | 38年 |
金属造で鉄骨の厚みが3mm超4mm以下 | 27年 | 30年 |
金属造で鉄骨の厚みが3mm以下 | 19年 | 22年 |
上記は国税庁公表の法定耐用年数の抜粋ですが、事務所と住宅でも耐用年数が違うことが分かります。
「金属造」とあるのが鉄骨造ですが、厚みによっても法定耐用年数が違います。
重量鉄骨編
耐用年数は住宅の場合34年です。
- 重量鉄骨の特徴
- 鋼材のひとつひとつに厚みがあり丈夫なため、強度や耐震性が高く、大規模マンションや商業施設に使われることが多い。
- 柱と柱の間隔を広くとれるため、少ない柱でも広やかな空間の実現ができる点も特徴。
- 軽量鉄骨より材料費がかかる、
- 柱が太く壁が厚くなるため、敷地面積が比較的狭い個人宅には不向き。
実際、個人住宅に使われているケースは少ないかと思います。
軽量鉄骨プレハブ編
耐用年数は住宅の場合、3mm以下だと19年、3mm超4mm以下だと27年です。
- 軽量鉄骨の特徴
- 住宅や低層の賃貸住宅など、主に小規模な建物によく使われている構造で、その名の通り軽量である点が特徴。
- 重量鉄骨と比べて材料費が安く、短い工期で建築できるため、多くの住宅メーカーで採用されている。
- 火災に弱く、柱を多く使う必要があるため間取りの自由度が低い。
重量鉄骨造の方が耐震性は高くなりますが、軽量鉄骨造だからといって、耐震性が弱いというわけではありません。
耐用年数関連の注意点
鉄骨造の家の建築や購入に際して、下記の点にご留意ください。
- 耐用年数=実際の寿命ではない
- 住宅ローンに影響することもある
それぞれ解説します。
耐用年数=実際の寿命ではない
法定耐用年数とは、固定資産の減価償却に使われる年表であり、実際の建物の寿命とは違います。
- 減価償却とは
- 資産の価値が時間とともに減るとみなし、その資産を使う期間(耐用年数)にわたって、購入額を毎期の費用として配分する会計処理です。
土地は土地は減価償却では年数による価値は目減りしませんが、建物は時間とともにその資産価値が減っていくと考えます。
つまり法定耐用年数が過ぎると、税務上の資産価値がなくなるということです。
税制上は資産価値がないからといって、もう住めないということではありません。
建物には定期メンテナンスが必要ですが、都度適度なお手入れをすることで消耗スピードにブレーキをかけられ、建物の寿命を延ばすことができます。
住宅ローンに影響することもある
法定耐用年数は住宅ローンの可否や最長返済期間の判断時にも使われます。
住宅ローンは借入をする人の年齢や収入も審査するため、法定耐用年数のみでは判断されませんが、影響する可能性は十分あるでしょう。
審査基準は金融機関ごとに違っているため、複数の金融機関に相談する手もあります。
寿命を左右する要素
鉄骨造の寿命はどの建物でも一律で決まっているのではなく、あらゆる要因で変わると考えられています。
鉄骨造の寿命に主に影響する要因は以下2つです。
- 自然災害の影響
- メンテナンス
自然災害の影響
鉄骨造の寿命に影響する要素のひとつに、災害が挙げられます。
災害から鉄骨造の建物を守るためには、防災対策や耐震工事をすることです。
耐震工事では建物の構造を丈夫にすることで、地震によるダメージを防ぎます。
こうした自然災害や火災の被害を受けたときは、建物全体の耐久性を調べ、対策をとる必要があるでしょう。
メンテナンス
先ほども建物には定期メンテが要る話をしましたが、鉄骨造の寿命を延ばすにはやはり適切なメンテがあってこそです。
定期的な点検では鉄骨の損傷や腐食などの異常がないかを確認しましょう。
何らかの異常が見つかった場合は早期修繕をすることで、建物全体の延命措置につながります。
塗装は、鉄骨の腐食を防ぐための大事なお手入れです。
解体や建て替えを検討するとき
鉄骨造の寿命を全部完全には見通せないとしても、安全対策の観点からも大きな損傷などが生じる前に、解体や建て替えを検討することが多いかと思います。
- 40~60年とされている。
- 大手住宅メーカーが設定する60年という保証期間も加味すると、鉄骨造の寿命の目安は40~60年程度と考えられるでしょう。
しかしながら、以下の注意点も見逃せません。
寿命がきたとき
鉄骨造の建物が「寿命が来たかな、さてどうするか?」となったときの主な選択肢は以下です。
- 建て替え
- 大規模修繕
- 売却
それぞれ詳しくご紹介します。
建て替え
これはもっとも確実な方法といえます。
建物の構造からすべて一新することで、耐久性や耐震性の向上が望めます。
- 建物の構造からすべて一新することで、耐久性や耐震性の向上が望める
- 建物内に新しい設備やデザインも取り入れられる
- 多額の費用がかかる
- 建物がこれまで担っていた役割を、建て替え中どこで担うかの問題が生じる
大規模修繕
こちらも一大イベントですが、建物の構造はそのままに、内装や設備などを一新する方法です。
- 建て替えに比べてコストや工事期間を抑えられる
- 建物の構造部分に大きな破損などがある場合は大規模修繕をもってしても対応できない可能性がある
売却
土地も含めて売ってしまうのもひとつの手です。
- 場合によっては建て替えや大規模修繕よりも選択肢になりやすい
- 老朽化により維持管理費用が高くなる前に現金化できる
- 現金化によって新たな物件の購入やほかの用途に資金を充てられる
法定耐用年数を超えた建物は減価償却できないことも、理由のひとつです。
売却方法
鉄骨造の建物の売却方法には、建物を残して売るか、解体して更地で売るかの方法があります。
建物を残して売る方法
スピーディに売ってしまいたい場合、建物を残したまま売却することも可能です。
- 法定耐用年数を超えている建物の場合、建物自体の評価が低く、担保にできな場合も多々あり、買い手側が金融機関で融資を受けにくい
- 売りに出したとしても、買い手がなかなかつかない可能性もある
解体し、更地にして売る方法
老朽化が進み、建物自体に価値がないような場合は解体して更地にすることで売りやすくなる可能性があります。
- 売り出す前に解体費用の自己負担が必要になる
なお、東京空き家相談協会にご連絡いただければ、100社以上の専門業者から一括見積をとり、ご意向に沿った業者をご案内いたします。
業者へのお断り連絡も代行しますので、お気軽にご連絡ください!なお、相談サポート無料です。