かつての公営住宅は、家族の暮らしが交わり、地域に活気が満ちる象徴的な場所だった。
しかし現在、多くの公営住宅では高齢化と空き室の増加が進み、静まり返った風景が目立ち始めている。
こうして、公営住宅は徐々に「地域の負債になりかねない存在」と言われるようになってきた。
だが一方で、この空き住戸は“活用次第で価値が蘇る潜在的な資産”でもある。
実際、各地では空き家を改修し、学生や技能実習生、子育て世帯などを受け入れる動きが広がり、公営住宅が再びコミュニティの拠点として活気を取り戻しつつある。
負債に見える空き家を、資源へと転換できるのか。
いま、公営住宅の現場で起きている変化を追っていく。
公営住宅の空き家問題は“地域の未来”と直結する

昭和期に量産された公営住宅が老朽化し、全国で空き家が増え続けている。
- 自治会の担い手不足
- 住民の高齢化
- 建物の改修遅れ
上記といった複合課題が重なり、「住みたいと思われない団地」が増えてしまった。
空き家を資源化する新しいアプローチとは

多くの自治体では、空き家を単なる余剰ストックではなく地域の資源として捉え直し、以下のような施策が進んでいる。
- 学生寮への転用
- 技能実習生や若手企業人材の住居に活用
- 子育て世帯を優先して受け入れる制度づくり
- 簡易改修による低コスト活用
- 団地内の商業・福祉施設の誘致
このように、“住む人を選ぶ時代”から“住む人を呼び込む時代”へ発想が転換されている。
宮崎県の事例に見る「若者流入モデル」が成功した理由

宮崎県は、以下といった複数施策を同時並行で進め、空き家率を大幅に改善させた。
- 大学との連携
- 農業法人と技能実習生受け入れ
- 空き家の改修と再募集
自治会活動に若者が参加することで、清掃や地域行事の担い手が復活し、団地の“空気”が変わったと評されている。
実習生や留学生が地域と挨拶を交わす光景は、これまで高齢化で静かだった団地に新しい風をもたらした。
首都圏で加速する学生×団地の共生プロジェクト

人口が集中する首都圏でも、公営住宅の空き家活用は加速している。
東京都:学生がコミュニティ運営を支える
東京都は学生に低家賃で住戸を提供し、以下などの地域協力を条件とする制度を導入。
- 清掃
- 祭りの設営
- 見守り活動
若者が入ることで自治会活動が継続し、世代間交流も増えている。
神奈川県:学生主導の福祉・地域活動へ発展
横浜市の団地では、学生たちが以下など幅広い活動を展開。
- スマホ教室
- 国籍を問わない子ども支援
- 地域イベントの企画
団地は単なる居住の場から、学生の実践学習の“フィールド”へと変わった。
群馬県の“住み込み再生プロジェクト”が地域にもたらした変化

群馬県では、学生が団地に住み込みながら再生に関わるプロジェクトが続いており、学生は以下を担当する。
- 空き家の簡単な改修
- 地元企業との協力による就職サポート
- 月例の住民交流イベント
高齢化が進み、半ば機能不全だった団地は、学生の存在によって“動きのあるまち”へと変貌した。
地元企業も学生との連携を評価し、地域ぐるみの再生モデルとなっている。
空き家活用が地域再生にもたらす3つの示唆
- ① 若者の流入こそ最大の再生エンジン
- 高齢化が進む団地に、学生や外国人実習生が入ることで、自治会の継続性が確保され、住民同士の関係性が豊かになる。
- ② 空き家の改修・活用で“負の遺産”が地域資源に変わる
- 最小限の改修で住める住戸が多く、柔軟な用途変更によって企業ニーズにも応えられる。
- ③ 団地を“外に開く”ことで住まい選びの候補に戻る
- 保育園・店舗・コミュニティ施設を誘致することで団地が孤立せず、地域と共存する環境が魅力を高める。
まとめ:空き家は「地域インフラ」へと進化する
かつての公営住宅は、住宅不足を補うための“量的供給モデル”だった。
しかし今や、空き家をいかに活用し、どのように地域と結びつけるかが重要となっている。
- 若者を呼び込み
- 空き家を改修し
- 多世代が交ざるコミュニティを創る
こうした動きは、公営住宅だけでなく、全国的な空き家問題にも応用できるヒントだ。
これからの空き家対策は、ただの住宅政策ではなく、“地域の未来をどうデザインするか”という視点が求められている。
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