東京空き家相談協会では、実家の相続から売却、購入など日々さまざまなご相談をいただきます。
その中から、今回は東京都世田谷区の解決事例をご紹介します。
相談内容
”親が認知症になり施設に入るため、親の自宅を売却したい”。
当協会にご相談いただく内容の中でも、このように未相続の方による売却相談の割合は多くあります。
通常であれば後見人制度を利用しなければいけませんが、今回のケースは少し特殊でした。
まず、「後見人制度」について解説します。
【自宅所有者が認知症】後見人制度とは
後見人制度とは事理弁識能力(物事の実態や行為の結果について理解できる力)結果をを欠く本人を保護するため、財産の処分などに関する権限を代理の人に与える制度です。
家庭裁判所は本人、配偶者、4親等内の親族、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人などの請求により審判を行い、後見人制度を適用します。
後見人制度には事理弁識能力を欠く度合によって、深刻な順から成年被後見人、被保佐人、被補助人という分類があり、その後見人にあたる人物をそれぞれ後見人、保佐人、補助人と言います。
成年被後見人、被保佐人、被補助人ではそれぞれできる行為が決まっており、それは以下のようになっています。
成年被後見人 | 被保佐人 | 被補助人 | |
開始要件 | 事理弁識能力を欠く常況にある | 事理弁識能力が著しく不十分 | 事理弁識能力が不十分 |
代理権 | あり | 原則なし | 原則なし |
同意権 | 代理権でカバー | 一部あり※ | 一部あり※ |
取消権 | あり(日常行為に関するものを除く) | 一部あり※ | 一部あり※ |
※民法13条1項各号所定の行為と特定の行為のみあり
特に成年被後見人が所有している不動産を売却する場合、家庭裁判所の許可がなければ売却を行えません。
このように解決しました
冒頭でもお話したように、通常であれば後見人制度を利用しないといけません。
しかし今回の物件は「借地権」だったため、地主の協力のもと、建物を解体し所有権移転登記の代わりに建物滅失登記と土地賃貸借契約をもって売買を成立させました。
ここで出てくる「借地権」とはどういう意味でしょうか?
借地権は2種類ある
借地権には「地上権」「賃借権」の2種類が存在します。
どちらも土地のもともとの所有者である地主が貸主、土地を借りる人が借主となる「土地の賃貸借契約」と考えると理解がしやすいかと思います。
この2つの権利はそれぞれ性質が異なりますので、次項で解説していきます。
借地権は2種類ある①地上権
地上権とは建物を所有するために土地を使用する権利のことです。
民法では物権と呼ばれる強い権利に該当します。
地上権の範囲は土地の表面だけでなく、上の空間や地価も含めた範囲も指します。
地上権は地代を払うことを除けば所有権に近く、地主の許可がなくても売却や転貸を行うことができ、抵当権を設定することもできます。
借地権は2種類ある②賃借権
賃借権とは、建物を所有するために土地を借りる権利を指します。
民法上は債権と呼ばれる弱い権利にあたります。
地上権と異なり、地主の許可がなければ勝手に転貸や売却ができません。
抵当権は一般的に建物のみに設定可能です。土地には設定できません。
実際の借地権として利用される場合は賃借権が多く、地上権はあまり使われないことが多いのです。
経験値の高い専門家と提携している安心感
今回のように、すでに家の所有者が認知症を発症していたり、借地権に建っていたりと、当事者の方にとっては心配ごとだらけですよね。
しかし、さまざまな背景が絡んでいる物件であっても、当協会では担当相談員によるヒアリング後に相談者様一人ひとりの背景やご意向に合わせた解決策のご提案から経験値の高い専門家へのご案内を無料で行なっています。
また、専門家や厳選した業者へおつなぎした後も、引き続き担当相談員が伴走サポートしているホスピタリティもご好評いただいております!嬉しいです。
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