実家を相続する際には相続税が発生しますが、相続税が高すぎて税金支払いのために実家を売却する、というのは本末転倒です。
そういった事態を防ぐために、実家の相続税負担を軽くできる「家なき子特例」というものが存在します。
WEBメディア「ゴールドオンライン」では、世田谷区の400㎥の宅地を相続するという相談者に対し、税理士の先生が家なき子特例を解説するという内容の記事が掲載されていました。
今回は上記記事を参考にしつつ、家なき子特例の内容や適用のための条件について解説します。
家なき子特例とは
相続税の特例には「小規模宅地等の特例」というものがあり、
これは被相続人の所有していた家の敷地や事業を営んでいた土地を相続する場合、相続税が減額される特例です。
対象となる宅地330㎡までの部分において、相続税が減額されます。
330㎡を超えた部分に関しては特例の対象とならないので、ご注意ください。
原則は被相続人の配偶者や同居親族に適用される特例ですが、被相続人と同居していない子供でもこの特例が適用されることがあります。
そのような小規模宅地等の特例の中でも例外的な特例を通称「家なき子特例」と呼びます。
家なき子特例は特例の内容自体は通常の小規模宅地等の特例と同じですが、特例適用のための条件がかなり厳しくなっています。
特例を受けるための条件は次項から解説します!
特例を受けるための条件①被相続人に配偶者や同居の相続人がいない
被相続人に配偶者や同居の相続人がいない、というものが1つ目の条件です。
同居の家族がいたら特例が適用できない、ということになるので、被相続人が一人暮らししていたなら特例の適用可能というふうに考えるとわかりやすいでしょう。
特例を受けるための条件②相続開始前の3年間持ち家に住んだことがない
相続開始前の3年間で、相続人が持ち家に住んでおらず、賃貸物件などに暮らしている、という条件になります。
この条件における持ち家とは以下のように定義づけられています。
- 相続人本人の持ち家
- 相続人の配偶者の持ち家
- 相続人の3親等以内の親族の持ち家
- 相続人本人と特別の関係がある一定の法人の持ち家
持ち家の基準がかなり制限されていますね・・・
家族の持ち家に住んでいなければ基本的に大丈夫、と理解しておくと楽ですよ!
特例を受けるための条件③相続した宅地を、相続開始後10か月間所有し続けている
この条件で言及されている10か月とは相続開始時から相続税の申告期限までの期間を指しています。
相続税の申告期限は被相続人の死亡を知った日の翌日から10か月以内です。
この期間に相続した宅地を売却してしまうと特例を適用できなくなりますので注意しましょう。10か月過ぎれば、売買契約を結んでも全く問題ありません。
特例を受けるための条件④相続開始時に居住している家屋を、これまで一度も所有したことがない
こちらは②に少し関連した条件です。
相続前に住んでいた家を一度でも所有したことがあれば特例を使えなくなります。
一見変な条件ですが、これは過去に第三者に持ち家を売却しておきながらその家に住み続け、所有者となった第三者に賃料を支払うなどして賃貸物件に住んでいる状態にするといった事例があったため、改正されて追加された条件です。
相続税を節税するために、持ち家がない状態を意図的に作るという裏ワザをやる人が大量に出たため、条件が厳しくなったそうです…。
家なき子特例の適用に必要な書類
家なき子特例を適用するためには、相続税の申告時に次の書類が求められます。
- 戸籍の附票の写し(被相続人の死亡後に作成)
- 現在借りている家の賃貸借契約書
- 借りている家屋の登記簿謄本
これらの書類を参照することで、過去3年間の住所や相続人が持ち家に住んでいないかなどを確認することができます。
さいごに
相続や節税についてご質問がある方は東京空き家相談協会にご相談ください。
当協会には税理士が所属しており、相続・税金のお困りごとや疑問に対応するために万全の体制を作っております!
また、相続した物件の売却や活用に関するご相談もワンストップで解決させることができる点が当協会の強みです。
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