隣の家で空き家の解体工事がはじまったら、どのような影響があるのか気になりますよね。
建物はいずれ取り壊すものであり、身近な場所でも起こることは十分にあります。
万が一のトラブル防止につなげるために、今回は、隣家の解体工事中に気を付けたいポイントをまとめました。
隣家の解体工事が自宅に影響する例
隣家で解体工事がはじまっても、大きな影響は出ないケースがほとんどです。しかし、環境次第では思らぬトラブルが起きることもあるのです。
どのような影響があるのか、代表的な3つの例を見ていきましょう。
隣家の解体工事が自宅に影響する例①騒音・粉塵によるトラブル
騒音によるトラブルは、日中も家で過ごす方にとっては深刻な状況になる可能性があります。
解体は重機を使うことが多く、日中は騒音が気になることも多いのです。
特に近年ではリモートワークが増加し、工事音による会議の不便さ、仕事に集中できないといった問題が起こりかねません。
また、隣家が近いほど解体時の粉塵によるトラブルにも気を付けたいところです。たとえば、粉塵で洗濯ものなどの外に置いてある物は汚れやすいのです。
隣家の解体工事が自宅に影響する例②建物の揺れによる影響
もっとも気を付けたいトラブルが、建物の揺れによる家の変化です。解体工事の重機の影響で、古い家によっては外癖や内壁がひび割れてしまうことも。
ほかにも地盤が緩んで沈下したり、天井がゆがんだりといった、大きな問題につながるケースがあるのです。
被害が出たら早急に相談し、補修工事や損害賠償の請求が必要になります。
隣家の解体工事が始まる前の予防策
隣家の解体のトラブルを防ぐには、前もって対処しておくことが大切です。
その予防策について、2つのポイントを見ていきましょう。
解体工事開始前の予防策①事前に家の様子を記録しておく
工事が始まる前に、建物のひび割れ、傾きを写真に残しておきましょう。外側だけでなく、家の中の天井、壁などの状態も写真で残しておくと安心です。
記録しておくことで、もし家屋に影響が出ても証拠があるため、すぐに対処してもらえる可能性が高いのです。
解体工事開始前の予防策②耳栓や室内干し用のラックを用意する
解体工事中はどうしても多少の騒音、粉塵は避けられません。しかし、少々であれば将来自分が解体工事をするときも、周囲に同様の迷惑をかけてしまう可能性が高いのです。
騒音や粉塵はある程度起こると捉えて、耳栓や室内で洗濯ものを干すためのラックや物干しざおを用意しましょう。
工事はそのうち終わるものだからこそ、家屋に被害が出ているわけでなければ、お互い様の気持ちでいることも大切です。
隣家の解体工事開始前の予防策③工事完了後に改めて写真を撮影する
工事中や工事完了後に、再び写真を撮影しましょう。
工事前と比べて変わっているところがあれば、隣家の工事の影響によるひび割れや歪みの可能性が高いのです。
早めに補修工事をしてもらわなければ、その後の生活に大きな影響が出てしまいます。工事中に発覚したのなら、すぐに相談したうえで補修工事をしてもらいましょう。
解体工事の騒音はいつまで続く?解体スケジュールはこちら
解体工事の騒音がいつまで続くか、工事期間中のスケジュールを把握しておきましょう。
以下は、一般的な木造一戸建て住宅の解体スケジュール目安です。
- 足場の設置と養生 1日程度
- 屋根の解体 1~2日
- 内装解体 3日程度
- 建物本体の解体 3~7日
- 基礎の撤去工事 2日程度
- 産業廃棄物の処理 1日程度
- 整地と清掃 1日程度
この中で、特に大きな音が発生するのは「建物本体の解体工事」と「基礎の撤去工事」です。
建物本体と基礎は大型の重機を使って壊していくため、屋根や内装部など手壊しで行なう作業と比べて、どうしても大きな音が響いてしまいます。
解体業者もできるかぎり迷惑をかけないよう対策をしてはいますが、
頑丈な建物を壊すという以上、限界があります。そのため、
- 音に敏感
- 小さな子どもがいる
- 在宅仕事をしている
といった場合には、「建物本体と基礎の解体工事」期間だけでも、実家に帰るなどの選択肢もあるでしょう。
H2解体工事の騒音クレームを入れる前の4つのチェックポイント
騒音が気になる場合でも、「クレーマーに見えてしまうのでは…」など心配になってしまうこともあると思います。
その場合、以下でご紹介する4つのチェックポイントをご確認ください!
また、家の解体を検討中の方で「クレームをつけられるかも…」とお考えの方は、ぜひ当協会にご連絡ください。
①養生シート・養生パネルの設置
養生シートや養生パネルの設置は、「解体仕様書」などで義務付けられています。
養生シートとは建物全体を覆い被せるためのシートで、養生パネルは現場周辺に設置するパネルです。
これらによって、音が外に響くことを抑える効果があります。
木造住宅の解体工事では防音シートが使われることが一般的で、
特に大きな音が発生する鉄筋コンクリート造や鉄骨造の建物では、養生シートに加えて養生パネルも設置する必要があります。
そのため、養生がない現場で騒音がする場合は、仕様書を守れないような悪質な業者の可能性が高いため、クレームを入れることを視野に入れてもよいでしょう。
②工事の時間帯
解体工事をしてもよい時間帯が、周辺の住環境によって決まっていることはご存知でしょうか?
例えば、工業地帯の解体工事は「6~22時」まで可能ですが、閑静な住宅地の場合は「7〜19時」と短く設定されています。
基本的に住宅街であれば、深夜帯や早朝などは施工が禁止されている時間であるため、近隣住民への説明を行わずに作業をしている場合は違法にあたります。
そのため深夜や早朝の解体工事の騒音にお困りの場合には、速やかに第三者に相談すべきでしょう。当協会でも
③業者からの説明の有無
解体工事前には、近隣住民に対して業者から「挨拶まわり」が行われます。解体仕様書や各自治体の条例にて、近隣対策の一環として義務付けられているからです。
木造住宅の解体工事の場合は、解体する家から見て「前後左右3軒隣」の住宅に挨拶が行われることが一般的です。一方で高層ビルや病院など大型建築物の解体工事では、より広範囲に迷惑をかける可能性があるため、地域一帯の住民に対して説明が行われます。
また挨拶まわりの形式は、直接近隣宅へ訪問する場合や地域の公民館などで説明会を開く場合、郵便で簡易的に済ませる場合など、業者によってさまざまです。近くで解体工事が行われるにもかかわらず、解体工事について説明がなく、連日騒音がひどい場合にはクレームを入れることをおすすめします。
④騒音の基準・受忍限度を超えていないか
解体工事では、住民の快適な日常生活を守るために住宅環境ごとに騒音基準が定められています。例えばバックホウやくい抜機、ブルドーザーを使用する解体工事に対して決められている騒音の基準は、以下の通りです。
住宅環境 閑静な住宅街・中高層マンション地帯 工業地帯
騒音の基準値 工事現場の敷地境界で85デシベル以下
上記より、自宅や解体現場の近くで「85デシベル」を超える工事音が連続的に聞こえる場合には、違反業者の可能性が高いといえます。そのため騒音計測アプリなどで調べてみた音が基準値を超える場合には、速やかに近くの自治体へ相談すると良いでしょう。
また騒音に関しては、「受忍限度」も重視される基準です。受忍限度とは、許容範囲を超える騒音であれば違法として扱って良いとする考え方です。上記の基準値を超えていない場合にも、法的論点となるため一つの基準にすると良いでしょう。
誰にでも起こり得るトラブルのために
隣家の解体工事は、誰にでも起こり得ることです。だからこそ、事前に写真を撮影するといった家屋調査の対策が、万が一のトラブルに対処できる方法です。
空き家のトラブルは、年々増加しています。もし空き家についてお困りのことがあれば、東京空き家相談協会にご連絡ください。
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