もし空き家を売却する場合、確定申告は必要なのでしょうか?
と、相談者さまとの会話の中で質問をいただくことがあります。
今回は空き家売却をさらに深堀して、確定申告についても解説していきます。
空き家売却後は確定申告が必要?
空き家を売却した時に利益が出た場合は、利益に対して譲渡所得税が課税されるため確定申告が必要となります。
売却利益がなかったり損失した場合は基本的には確定申告は不要ですが、損失については確定申告を行なうことで給与所得などと損益通算することができ、節税になる場合もあります。
では利益に対して課税される「譲渡所得税」とは一体何者でしょうか?
譲渡所得税とは
直近で更新した空き家ジャーナルでも解説したように、
譲渡所得税とは、実家を売却した際にかかる最も一般的な税金のことです。
譲渡所得税は、一般的に土地、建物、株式、ゴルフ会員系などの資産を譲渡することによって発生する所得のことをいいます。
しかし、事業用の商品など棚卸資産や山林などの譲渡による所得は、譲渡所得になりません。
該当の空き家ジャーナルは以下よりお読みいただけます。
譲渡所得税の税額の計算方法
土地や建物の譲渡による所得は、給与所得などの他の所得に合算せず、
分離して計算する分離課税制度が採用されているのです。
譲渡所得の税額は以下のように計算します。
① 長期譲渡所得
課税長期譲渡所得金額×15%
② 短期譲渡所得
課税短期譲渡所得金額×30%
ちなみに平成25年から令和19年までは、復興特別所得税としては各年分の基準所得税額の2.1%を所得税と併せて申告・納付することになります。
復興特別所得税は先ほどご紹介した空き家ジャーナルにて解説しておりますので、ぜひ併せてご一読ください!
空き家売却後の確定申告で使える特別控除って?
相続または遺贈により取得した被相続人居住用家屋または被相続人居住用家屋の敷地等を、平成28年4月1日から令和9年12月31日までの間に売って、一定の要件に当てはまるときは、譲渡所得の金額から最高3,000万円まで控除することができます。
これを、被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例といいます。
特別控除の特例を受けられる対象
特例の対象となる「被相続人居住用家屋」とは、以下の要件をクリアしている必要があります。
・昭和56年5月31日以前に建築されたこと。
・区分所有建物登記がされている建物でないこと。
・相続の開始の直前において被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと。
また、特例の適用を受けるためには「相続または遺贈により取得した被相続人居住用家屋を売るか、被相続人居住用家屋とともに被相続人居住用家屋の敷地等を売ること」などいくつかの要件があります。
詳細はぜひ国税庁のサイトをご覧ください(クリックで国税庁HPに移動)
空き家売却後の確定申告の手続きの流れ
前述したように譲渡所得税によって確定申告が必要か否か変わります。
要約すると以下が確定申告の手続きの流れです。
①譲渡所得の計算
②申告書類を国税庁のホームページから取得
③申告書類を記入・必要書類を準備
④書類一式をそろえて管轄の税務署へ提出
確定申告に必要な書類のチェックシート
様々な証明書などの書類が必要になる確定申告。
確定申告に必要な書類の中で、以下は国税庁HPよりダウンロードできます。
①申告書B様式(第一表・第二表)
②申告書第三表
③所得税青色申告決算書(不動産所得用)
④譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)【土地・建物用】(1~4面)
⑤譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)【土地・建物用】(5面)
書面で確定申告書などを作成し、税務署への持参または送付により提出することもできますが、国税庁HPの「確定申告書等作成コーナー」で申告書などを作成いただき、e-Taxよりご提出いただくことも可能です。
「確定申告書等作成コーナー」はこちら(クリックでページに移動)
また、以下の5つも準備しましょう!
①空き家の取得時と売却時の売買契約書のコピー
②仲介手数料などの譲渡費用が分かる領収証のコピー
③取得費や取得時の経費が分かる資料や領収証
④空き家の登記事項証明書
⑤本人確認書類(マイナンバー等)
空き家の登記事項証明書は法務局で取得が可能です。
会社員の場合は源泉徴収票も用意しましょう。
また、3,000万円特別控除の特例を受ける場合は、上記にくわえて以下の書類も必要ですのでお忘れなく!
①相続により取得したことが分かる書類
②家屋が1981年5月31日以前に建築されたこと及び区分所有建物登記がされている建物でないことがわかる書類
↑上記2つは法務局で取得する登記事項証明書などで証明できます。
③被相続人居住用家屋等確認書
↑市町村役場で取得することができます。
④被相続人居住用家屋の耐震基準適合証明書または建設住宅性能評価書の写し
↑④は、登録住宅性能評価機関や建築士に耐震基準の証明を依頼することで取得できます。
証明書などの書類収集が大変ではありますが、このチェックシートを見ながら進めていきましょう!
確定申告の期間と期限
来年2024年(令和6年)の確定申告期間は2024年2月16日(金)~3月15日(金)です。
この期間に、2023年1月~12月の会計結果をまとめて税務署に提出しましょう。
ちなみに、還付申告は2024年1月1日~2028年12月31日です。
還付申告とは、源泉徴収や予定納税により税金を納めすぎている人が行なう手続きのことで、5年以内の申告であれば、納めすぎていた税金が返還されます。
ただし、5年を過ぎると返還されないので、忘れずに申告しましょう。
確定申告の書類提出場所
納税地を所轄する税務署長宛てに提出します。
各税務署の所在地が知りたい場合は、国税庁の「税務署の所在地などを知りたい方」のページをご覧いただければチェックできます!
クリックで国税庁HP「税務署の所在地などを知りたい方」のページへ移動
まとめ
ご紹介したように、空き家売却後の確定申告によって、特別控除を受けることができる可能性もあります。
そのため、ご自身がどのくらい譲渡所得税が発生するのかなど調べておく必要性もとても高いのです。
空き家や、空き家になる予定の実家の売却をご検討の際は、税金についても考えておく必要があります。
東京空き家相談協会では、相続や売却、買取、今回の空き家ジャーナルのように税金についてのギモンもご相談を受け付けております。
お問合せフォームはこちら
または以下からご相談ください!
電話番号➡ 03-6258-0496
メール➡ message@tokyo-akiya.info