管理不全空き家という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
居住者がいない空き家の中でも、所有者が管理を放棄し、
一定期間手が付けられていないことで老朽化による倒壊の危険を有する空き家を指します。
害獣・害虫の住みかになることからも、管理不全空き家は各自治体で問題視されています。
しかし問題はそれだけではありません。
空き家を放置することで、その空き家の持ち主がいつの間にか他人に変わっている、といったケースもあります。
これは所有権の取得時効、という制度が大きく関連しており、管理不全空き家を処分する際に大きな問題になる可能性があります。
今回はこの取得時効について解説します!
所有権の取得時効とは何なのか?
これを解説するにはまず所有権について理解する必要があるでしょう。
民法239条1項には、以下のように記されています。
所有者のない動産は、所有の意思をもって占有することによって、その所有権を取得する。
例えば道端で拾ったダンゴムシは自分のものになりますよね?
それくらいの解釈でも結構です。
もちろん空き家はダンゴムシとはまったく異なるものですが、空き家にも所有権が存在します。
基本的には相続や売買で取得した人がその所有権を取得します。
しかし所有権を得たからといって安心はできません。
所有権を有しているどころか、下手したらいつの間にか空き家の所有権が変動しているといった場合もあります。
これに関係してくるのが、所有権の取得時効という制度です。
取得時効は一言で言い表すと「持ち主がいないものを一定期間所有すれば、それを自分のものにできる」という制度です。
「空き家には持ち主がすでにいるじゃないか!」
おっしゃる通りです。
しかし日本における所有権では「占有」という部分が重視されており、空き家を放置している=占有していないという風にみなされる場合があるのです。
不動産の取得時効では、第3者が土地を一定期間所有の意思を持って占有した場合、土地の所有権が第3者に移動します。
具体的には善意を持って10年、悪意で20年土地を占有すれば、その土地を自分のものにできます。
ここでいう善意とは占有した土地に持ち主がいたことを知らなかった場合を指し、悪意は持ち主がいたことを知っていて占有することを指します。
空き家でも取得時効が起きる
以上のことから、所有権の取得時効によって空き家を放置している場合、所有権が変わってしまうケースは十分あり得ます。
管理を怠っていた管理不全空き家に第3者が勝手に滞在し、10年または20年占有することで、空き家の所有権が自動的に移動してしまいます。
空き家の買い手が見つかったのに、いつの間に取得時効が発生して空き家が売れなくなった、
なんて嫌ですよね・・・
管理目的などで定期的に空き家に立ち入れば、空き家を占有しているとみなされ、取得時効の発生を防げるので、空き家の管理は行っていくべきでしょう。
取得時効がなくても空き家の放置は危ない
取得時効を差し置いても空き家の放置はいかがなものでしょうか。
まず空き家を放置することで、老朽化による倒壊や害獣の発生リスクの増加が考えられます。
また「空き家の占有」という話に限定すれば、第3者による空き家への不法侵入が起こり、最悪の場合犯罪の現場になってしまうという可能性もあります。
その場合、空き家の所有者も管理責任に問われる場合があり、
以上の理由からも空き家の放置はお勧めできません。
放置するより良い方法があります!
空き家の管理は確かにお金がかかるので、放置したくなる気持ちはわかります。
しかし先述したように取得時効によって資産を失ってしまうこともあるため、放置は良い手段とは言えないでしょう。
放置してしまうくらいなら、東京空き家相談協会にご相談ください!
東京空き家相談協会は空き家の売却・活用に関するお手伝いや管理代行のご案内も行えます。
空き家を放置している方は、ご自身の資産を奪われないためにもぜひ東京空き家相談協会にご相談ください!