各自治体で問題として取り上げられることが増えた空き家対策。
実は東京都でも空き家は今増え続けています。
空き家は築年数が古いものが多く、解体するにもお金がかかるため
東京都内であっても空き家活用が進んでいないのが現状です。
そんな中、足立区は空き家対策で成果を上げており、東京都の各自治体にとって空き家活用に向けたロールモデルとなりうるでしょう。
今回はそんな足立区の空き家に対する取り組みをチェックしていきます!
東京都内でも空き家は増えている!
先ほども述べたように、東京都内でも空き家の数は着実に増えています。
2018年の総務省統計局の調査では東京都の空き家率は10.6%となっています。
この数値には、以下の背景があります。
・高度経済成長期に生まれた「持ち家文化」
・中古物件市場の弱さ
・固定資産税の減税制度
・少子高齢化や核家族化(2世帯・3世帯住宅の減少)
特に「団塊世代」が後期高齢者となり、老人ホーム等に入居を始める2025年頃には空き家はますます増加していくでしょう。
足立区の空き家事情
2015年に「空き家特別措置法」が実施され、放置空き家に対する対策が強化されてから、
足立区では積極的に空き家に対する独自調査が実施されてきました。
その調査で、足立区内では北千住駅近辺の千住曙町、柳原、千住橋戸町に空き家が密集しているという結果が出ました。
この地域では戸建ての空き家が多く見受けられ、老人がひとりで暮らす古い木造家屋(空き家予備軍)も数多く確認されたとのことです。
足立区の空き家対策~千住Public Network EAST~
独自調査を通して、空き家対策のためには高齢者に対して空き家についての知識を深めてもらう必要がありましたが、
高齢者の方の中には、インターネットで情報発信をしても第一にネットを見ない方や、空き家活用に興味を示さない方が多くいました。
そこで足立区は不動産会社や商店街関係者、税理士と協力し、空き家が密集していた北千住駅東口周辺に、空き家のプラットフォーム「千住Public Network EAST」を展開しました。
ここでは定期的に空き家の個別相談会や空き家活用アイデアを募集するコンペ等、空き家に関するワークショップを実施し、空き家事業の活性化を行っています。
現在まで、このプラットフォームには530人もの人が参加し、6棟の物件が再活用されたとのことです。
足立区の空き家の数は未だ2300棟ほどありますが、この取り組みを通し、今後ますます多くの物件が活用されていくでしょう。
~千住Public Network EAST~からわかる空き家対策のポイント
今回は足立区の空き家対策を取り上げていますが、この取り組みは多くの自治体にとってロールモデルとなるものです。
各地域における空き家(もしくは今後空き家になるであろう物件)の所有者は高齢者であるケースが多く、
足立区の場合と同じように、高齢者の空き家に対する認識の低さが課題となっているでしょう。
しかし各自治体の対応力や地域性はそれぞれ異なるため、
足立区の取り組みを100%真似るのはやや早計かと思われます。
そこで、次項では足立区の空き家対策における参考にすべき重要ポイントをお伝えします。
空き家対策の重要ポイント①行政と民間企業の連携
空き家対策において、行政には
・地域住民からの信頼性が高い
・様々な手続きを通す必要があり、政策実施のスピードが遅い
という特徴があり、
一方民間企業には
・地域住民と結びつきが弱く、信頼を得にくい
・事業展開が速い
という特徴があります。
どちらも一長一短で、単体で空き家対策を行うのは難しいと言えるでしょう。
そこで、両者が協力体制を敷くことで
・地域住民から信頼を得られる
・事業展開が速い
という欠点のない空き家対策のための組織が構築できます。
町内会等、町単位での結束が根強い地域では、足立区のように商店街関係者とも協力することで、より円滑な空き家対策ができるでしょう。
空き家対策の重要ポイント②空き家に無関心な人を減らそう
空き家は所有するなら管理費、解体するなら解体費等、多くのコストがかかるものです。
そのため空き家の今後の展開に対して無関心な人も多くいます。
そのまま放置空き家を残しておくことで、周辺住民に被害を及ぼす可能性もありますが、逆に空き家を上手に活用することで所有者に利益をもたらすこともできます。
まずは地域住民との直接のかかわりやインターネットでの情報発信を通し、空き家対策の重要性やメリットを知ってもらう必要性があるでしょう。
東京空き家相談協会も空き家対策に力を入れています!
今回は足立区の空き家対策事例を紹介していきました。
今後、他の自治体でもこのような対策が増えていくことが予想されますが、まだまだ制度が整っていないのもまた事実です。
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