日本中で増え続けている空き家ですが、
最近ではそんな空き家を地域住民に還元しようとする動きもみられています。
福岡県大牟田市では、住まいの確保が難しい人に空き家を活用して住宅を提供する居住支援が行われています。
大牟田市は世界文化遺産の歴史的建造物に三池炭鉱の栄華をしのびますが、人口はピーク時の半分の約10万人。
マンションが並ぶ傍らに空き家が点在します。
家探しに苦しむ方、たとえば低所得や母子世帯、要介護、心身の障害、
ドメスティックバイオレンス(DV)、外国人などの問題を抱えた人々を空き家を活用して支援しているのです。
主体は福祉や不動産に関連する官民の団体でつくる市居住支援協議会。
NPO法人大牟田ライフサポートセンターと市建築住宅課が合同事務局となり、
家を借りるのが難しい人と空き家の所有者の間を取り持ちます。
ライフサポートセンターはケアマネジャーや1級建築士を擁しています。
相談に来た人からはまず抱える事情を聞き出し、事情に応じて介護や障害、
子育てなど関係機関が支援態勢を組んでいきます。
空き家の掘り起こしは地域に精通する民生委員の力を借り、
貸す意向があれば1級建築士が家の状態を確認し、
住める物件は固定資産税相当額で借り上げ、
住めなければ事業者を紹介して解体を促します。
多くの所有者は遠方に住み、「親の七回忌までは」などと賃貸に出すのをためらいがち。
しかし、その間にも家は傷みます。
手紙や相談会で仏壇や家財の扱いを指南するなどして背中を押し、活用できる物件を増やしていっています。
かつて住まいの確保が難しい人は公営住宅に入ることが多かったですが、今は老朽化で難しい。
人口減少で公営住宅は財政を圧迫するうえ、空き家も増えていく現状です。
牧嶋さんは市職員時代に空き家を活用して公営住宅を減らすことを考え、居住支援協議会を立ち上げました。
民間の賃貸よりも安く住める公営住宅は人気の為、入れる人数には限りがあります。
増加している空き家を逆手にとって、
地域住民に還元することが求められているのかもしれません。
また、住宅としてだけではなく地域住民が集う「場」として
公開するという活用方法もあります。
この記事をご覧になっている皆さまの中で空き家を所有している方がいらっしゃれば、
ぜひその資産を”地域へ還元する”ことについて、ご検討いただけると幸いです。
大牟田市の空家等対策の紹介ページはこちら(公式サイトにリンク)