日本では放置空き家が問題となり、対策が進められていますが、空き家数や空き家率の現象に大きな進歩は見られていません。
その理由には共同住宅の数が関係しているといえます。
今回は増え続ける空き家数と共同住宅の関係をお伝えしていきます。
【最新版・速報値】日本の空き家事情
日本では5年おきに「住宅・土地統計調査」が行われ、全国の住宅数、空き家率等が明らかになります。
最新が2023年、その前が2018年の調査になります。
2024年4月、2023年に実施されていた調査の結果が公表されており、最新の総住宅数や空き家率が速報値ベースで判明しました。
調査によると日本全国には現在899万5200戸の空き家が存在し、その空き家率は13.8%を記録しているようです。
5年前の平成30度住宅・土地統計調査では、空き家数は848万9000戸、空き家率は13.6%となっていましたので、
5年間で空き家数は約50万戸、空き家率は0.2%増加していることになります。
都道府県別の空き家率をみると、和歌山県と徳島県が同率トップ(21.2%)で、山梨・鹿児島・高知県がそれに続きます。
ただ、空き家数でみると東京都がダントツでトップとなっており(89万7900戸)、これに大阪府や神奈川県が続きます。
空き家問題は都市部でも地方でも平等に起きている問題と言えるでしょう。
速報値が出た際のコラムはこちら
都市部で空き家が増え続けている原因とは
都市部での空き家問題において、共同住宅は放置空き家よりも大きな問題となっています。
実際に2023年の住宅・土地統計調査の結果でも、「空き家数が最も多いのは共同住宅」という結果が出ています。
空き家数は899万5200戸を記録しましたが、そのうち放置されている、使用用途のない空き家は385万2700戸にとどまっています。
これは全空き家の55%ほどの数値であり、とりわけマンション供給の多い東京都では、空き家となった共同住宅の占める割合が87.5%となっています。
空き家となった共同住宅は「放置空き家」ではなく「賃貸用の住宅」なのですが、
このような空き家が都市部で増えている原因は、投資用物件の増加にあります。
つまり「居住目的ではない物件」が増えており、マンションデベロッパーも「需要があるから建て続ける」という判断をしているため、共同住宅が過剰供給状態となっているのです。
現在少子化によって住宅取得の中心世代である30代~40代が減少傾向にありますが、
日本の「新築信仰」に加え、国外からの投資マネーの流入、富裕層による相続税対策が原因となり、
居住目的のないマンションはしばらくは増加を続けるでしょう。
日本が「新築信仰」の所以は以下コラムでご紹介しています!
このほかにも高齢者の一人暮らし世帯増加が空き家増加の原因となっています。
国立社会保障・人口問題研究所の「日本の世帯数の将来推計」によれば、2050年の世帯総数は5260万7000世帯で、
2020年(5570万5000世帯)より309万8000世帯少なくなる見通しですが、
一人暮らし世帯に関しては215万世帯ほど増加する見通しとなっています。
特に未婚の一人暮らし高齢者世帯の増加が懸念されており、
彼らが死亡したり、老人ホームに入った結果、住んでいた家が空き家化するという問題が起きるでしょう。
東京都世田谷区ではそのような世帯を対象に「空き家予防」を進めているようです。
空き家となった共同住宅がもたらす影響
共同住宅の空き家は、一戸建てと比べて近隣に影響を及ぼしやすいと言われています。
なぜなら大規模修繕や建て替えに向けた居住者の合意形成が難しくなるためです。
空き家を相続した所有者が不明となるケースも多く、修繕積立金の支払いが止まれば、資金計画も狂うことになります。
共同住宅の修繕が行えないと資産価値が下がるだけでなく、外壁の剥離などによって思わぬ事故やトラブルも起こるでしょう。
共同住宅は戸建ての空き家と異なり、運営や修繕が難しいものです。
共同住宅の空き家を放置してしまうと、資産価値の低下や修繕計画の停滞が起こり、多くの方に迷惑がかかります。
たかがマンションの一室だと思わないようにしましょう。
またマンションに居住する予定がない場合、誰かに賃貸する予定がない場合は、早めに売却を検討しましょう。
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