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建物滅失登記を解説

空き家解体後にかかせない「建物滅失登記」とは?

更新日:2023年9月11日

 

空き家の解体をするには、業者に依頼するだけでなく行政にいろいろな申請手続きが必要です。

 

その中の1つが、建物を解体したことの証明になる「建物滅失登記(たてものめっしつとうき)」です。

 

なぜ空き家の解体工事をしたあとに登記の手続きが必要なのか、その理由と手続きの大まかな手順や内容をご紹介します。

 

ちなみに、以前建物解体の流れと、解体前に必要な手続きについてこまかくご紹介しているので、こちらも併せてご一読ください!

 

 

建物滅失登記とは?必要な場面・申請できる人

事前に確認すべきことは?

建物滅失登記とは、建物を解体してなくなったことを記録するための登記です。

 

不動産の登記には面積や、木造などの建物構造を記す「表題登記」があります。

 

【補足】表題登記とは?

 

不動産登記には、大まかに「表題登記」と「権利の登記」があります。

表題登記には、建物の所在や木造などの建物構造、面積などが記録されています。

家を新築するときなど、不動産が新たにできたときに申請するのが表題登記です。

建物の一部や付属建物を壊したり、焼失したりした場合には、建物表題変更登記の申請を行います。

 

表題登記を見れば、建物の所有者がわかるようになっているため、建物を取り壊した場合も、その状況を記録する必要があるのです。

 

法務局HPより参照(クリックで法務局HPへ移動)

 

実家や空き家の解体をご検討中の方や、「まず見積もりを知りたい」という方は、ぜひ当協会にご連絡ください。
解体業者同行の無料の現地調査・見積もり作成だけでなく、解体工事が完了後の無料サポートも伴走させていただきます。

 

建物滅失登記が必要な場面

 

建物滅失登記が必要な場合は以下です。

 

  • 建物すべてを解体した場合
  • 建物が自然災害や火事などでなくなってしまった場合
  • 登記簿に記録されている建物がすでにない場合

 

申請できる人

 

建物滅失登記は、基本的に建物の所有者である登記名義人が申請します。

もし建物を共同で所有している場合は、共有しているうちの誰かが申請することも可能です。

すでに所有者が亡くなっている場合は、建物の相続人のうちの誰かが滅失登記を申請することで記録に残せます。

 

しかし建物解体の申請は、共有者全員の同意が必要になります。それぞれ手続きの扱いが異なりますのでご注意ください!

 

【注意】建物滅失登記の期限は1か月以内!

注意点を解説

 

建物滅失登記を申請できる期間は、「滅失した日から1か月以内」と義務付けられています。

 

この滅失は建物の取り壊しが完了した日であり、建物を取り壊していない状態では申請できません。

 

つまり、建物を壊したと証明できるときから1か月以内に申請する必要があり、事前にほかの書類とともに提出できないため注意しましょう。

本コラム下部では、建物滅失登記をしなかった場合に起こるデメリットもご紹介していますので、要注目です!

 

建物滅失登記の申請に必要な書類

手続きに必要なものをご紹介

 

建物滅失登記を申請するには、次の3つの書類が必要です。

 

  1. 建物滅失登記申請書
  2. 建物滅失証明書
  3. 解体業者による資格証明書

 

それぞれの必要書類の入手方法や記載する内容を見ていきましょう。

 

①建物滅失登記申請書

 

建物滅失登記申請書は、法務局の公式HPから様式をダウンロードできます。

 

記載例も用意されており、例をもとに申請者の名前や所在地、建物の構造などの必要な情報を記入してください。

 

建物滅失登記申請書はこちら(クリックで法務局HP申請書へ移動)

 

②建物滅失証明書

 

建物滅失証明書は、建物が取り壊されたことを証明する書類です。

これは空き家を解体した工事業者が証明する書類で、別名「取り壊し証明書」とも呼ばれています。

 

解体工事業者から作成してもらったものを提出すれば問題ありません。しかし、中には解体工事業者が用意できない可能性もあります

 

そのときには空き家の所有者が、上申書を作って登記する必要があります。具体的に必要な手続きや建物に関する情報、焼失した理由などを記載します。

 

また、所在者の住所や氏名などの個人情報のほか、解体業者による署名と捺印欄もあるため注意しましょう。

 

あらかじめ建物滅失証明書に必要事項を明記し、そのうえで解体業者に捺印を依頼できればスムーズです!

 

③印鑑証明書

 

自身で建物滅失証明書を作成する場合に、解体業者の印鑑証明書が必要になることがあります。

 

解体業者に捺印とサインをもらうと同時に「印鑑証明書がほしい」と伝えましょう

 

印鑑証明書は有効期限がないものの、建物滅失証明書などに捺したハンコと同じものでなければいけません。

 

取り壊した解体業者に印鑑証明書を発行するまでに時間がかかると言われた場合は、法務局にいったん相談しておくと安心ですね。

 

 

建物滅失登記を申請する流れ

手続きの流れをご紹介

 

申請は所有者本人が行なうことも可能ですが、自分で書類を作成する時間がない人や、

平日に法務局に行けないという人は、土地家屋調査士へ依頼する方法もおすすめです。

 

それぞれの申請の流れは以下の通りです。

 

土地家屋調査士へ依頼時の期間・費用

 

登記の手続きとなると司法書士をイメージしますが、建物滅失登記は土地家屋調査士の仕事になります。

手続きには以下の流れで行なわれます。

 

  1. 必要書類を提出する
  2. 土地家屋調査士が代理で手続きする
  3. 登記完了証を受領する

 

手続きにかかる期間:通常1~2週間程度

依頼する場合の費用相場:4~5万円程度

 

解体工事開始前後にあらかじめ相談するか、遅くとも解体が完了し建物が滅失後すぐに依頼するようにしましょう!

 

自分で申請する時の期間・費用

申請自体はそれほど難しいものではないので、流れや費用を比較して、少しでも費用を抑えたい方は自分で行なっても良いでしょう。

自分で申請する場合は、以下の流れになります。

 

  1. 管轄の法務局を調べる
  2. 登記の有無を確認する
  3. 建物の登記簿謄本や各種図面を取得
  4. 建物滅失登記申請書をダウンロードし、記入。控えのコピーをとる
  5. 法務局へ申請書類を提出(持参・郵送)
  6. 登記完了証を受領

 

法務局は平日の午前8時30分〜午後5時15分まで開いています。

提出は郵送でも可能ですが、不備があった場合、修正のやり取りをするうちに申請期限の1ヶ月を過ぎてしまうリスクがあるため、法務局へ直接行って、不備があればその場で修正し、申請するほうが安心です!

 

自分で進める場合の費用:1,000円~3,000円

それ以外にかかる費用:登記事項証明書にかかる600円 / 地図などの情報にかかる450円

 

相続・実家・空き家相談は東京空き家相談協会へ

 

建物滅失登記をしなかった場合のデメリット

デメリットを解説

 

これらの申請手続きを怠ると、さまざまなデメリットが発生します!

1ヶ月以内に必ず手続きを完了できるように進めましょう。

 

  1. 建て替えができなくなる
  2. 更地にした土地が売れなくなる
  3. 罰則がある
  4. 将来的な手続きが面倒になる

 

①建て替えができなくなる

 

建物滅失登記が完了していないと、登記上は建物が存在している状態になります。
そのため建築許可がおりず、建て替えができなくなるのです。

建て替えをお考えの場合は注意しておきましょう。

 

②罰則がある

 

建物滅失登記は、不動産登記法に基づき、建物がなくなった日から1ヶ月以内の申請が義務付けられています

 

もし怠った場合、10万円以下の過料に処される可能性があります。罰則を受けないためにも期限内の申請を心がけましょう。

 

③更地にした土地が売れなくなる

 

せっかく建物を解体して更地になったとしても、建物滅失登記が完了していないと、登記上と現状の内容が異なるため売却が難しくなります

 

土地を自由に活用するためにも、手続きをするべきです。

 

④将来的な手続きが面倒になる

 

建物の登記名義人が建物滅失登記をせずに亡くなった場合、戸籍謄本の提出が必要になるなどの手間が発生し、面倒になります。

将来の負担を減らすためにも、今手続きを進めましょう……!

 

違反して罰金が科されることのないように

 

空き家解体後は建物滅失登記を1ヶ月以内に申請する義務があります。

手続きを進めないことによるデメリットでもご紹介しましたが、「今はいいや…」と後回しにした結果、違反として罰金が科せられることもありますので、ご注意ください!

「まずは解体の見積もりを知りたい」という方も、ぜひご連絡ください。

解体業者の現地調査・見積もり作成だけでなく、業者へのお断りもふくめて無料サポートいたしております。

 

何から話せばいいか分からない方でも大歓迎!

この記事を書いた人

一般社団法人東京空き家相談協会 小峰千波

一般社団法人東京空き家相談協会

小峰千波

当協会の「空き家ジャーナル」は各専門家が監修しております。学生時代からまちづくりに関心があり、地元をはじめとした地域活性化活動や環境経営に携わっていた。 故郷の過疎化を感じ、人が生きやすく集いやすい環境づくりがしたいと感じ、 現在は一般社団法人東京空き家相談協会の相談員として、ご相談者様に寄り添ったサポート活動をしている。 自然と動物が好きです。