- 売りたくても売れない
- 今できる最善の手段が分からず、進みあぐねている
相次ぐ切実な声。
相続で引き継いだものの、持ち家が売れずにお困りの方も多いかと思います。
とりわけ築年数が古い持ち家となるとハードルもいちだんと上がり、売却が難しくなります。
当コラムではこのようなお悩みを抱えている方に、持ち家が売れない理由や売るための方法を解説します。
持ち家がなぜ売れないのか?なかなか売れない理由
空き家が売れない場合、次のような理由があります。
①立地条件や日当たりに問題がある
住まいを選ぶということは生活の利便性も含めた住環境も買っていると考え、暮らしを取り巻く総合的な環境も重視される方は多いでしょう。
次のように立地条件が悪い家の場合、建物状態に関係なく、売れ残りやすい傾向があります。
- 駅やバス停からの距離が遠い
- 何をするにも不便な田舎にある家
- 周辺にスーパーなどの商業施設や病院、学校などの施設がない
- 騒音が多い
- 周辺の治安が悪い
- インフラが整備されていない
上記はいずれも買い手にとって外せないポイントになることが多いです。
建物自体には納得できても、日々の暮らしの中で何をするにも遠くて骨折りの立地では敬遠され、購入に至らないことが多々あります。
加えて日当たりのよさも影響度が高いと考えていいでしょう。立地自体はそこそこ便利な場所でも日当たりが悪いと住環境に影響するため、やはり物件の価値は下がってしまいます。
②築年数が古く、建物の状態が悪い
建物の状態が悪いと、「安心して暮らしたい」「すぐに住める家がいい」という買い手のニーズとギャップが生じる結果、売れない可能性があります。
とりわけ相続で得た家の場合、築年数が経ち、それなりに年季が入っていると考えられます。
これは老朽化レベルによりますが、築年数が経っていても部分的なリフォームで問題なく住める程度の状態であれば、買い手が早く見つかるかもしれません。
とくに築年数が30年(もしくはそれ以上)経過しているような家となるとリフォーム代もバカになりません。
こうなると買い手にとっては「この家はお金がかかってたまらん」「それなりに余裕資金がないと住めない」となり、敬遠されやすくなるでしょう。
さらに、古い家は現在の耐震基準を満たしていない可能性があり、安心して暮らせる家を探している側にとってマイナスポイントになりがちです。
エリアの治安のよさなどと併せ、自然災害の被害を考慮し、台風など災害時の被害が比較的少ないことや海抜、インフラ整備を重視する買い手もいます。
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③再建築不可の土地である
再建築不可の土地にある空き家は、売れにくい傾向があります。
再建築不可の土地とは、※建築基準法に適合していないため、建て替えや新築ができない土地を指します。
新規に家を建てられない理由は建築基準法の接道義務(住宅の建築の際、幅4メートル以上の道路に建物の敷地が2メートル以上接していなければならないという定め)を満たしていないことが原因です。
これは再建築不可のルールが定められた1950年(昭和25年)以前に区分された土地や建物を中心に見られるため、該当する家屋は注意が必要です。
再建築不可物件は「既存の家の建て替えができない」「買い手が購入時に住宅ローンを借りられない」など制限が多いため、売れにくいという特徴があります。
https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000201
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④隣地との境界が明確でない
空き家が売れない理由として、隣地との境界が明確でないことが考えられます。
境界がきちんと確定していないためにどこからどこまでが敷地なのかをめぐり、隣地所有者とのトラブルが起こることが懸念材料になるためです。
とくに相続で取得した家の場合、土地の境界の確定と名義変更が済んでいるかを確認する必要があります。
境界が確定しているかどうかについて、法務局で調べることができます。あるいは契約している不動産会社に調査依頼をするのも手でしょう。
隣地との境界線が明確でない場合、土地家屋調査士や測量士等、専門業者へ依頼して境界を確定させなければなりません。(その際は手間と費用がかかることにご注意ください。)専門業者を探す際も、不動産会社に依頼すると一人で探すより手間が省けます。
また、2024年4月より、相続した不動産の名義変更(相続登記)が義務化されています。
相続で家を取得したことを知った日から3年以内に相続登記をしないと、10万円以下の過料を負わされるおそれがあります。処分の際、家が共有名義になっている場合は共有者全員の合意が必要になるため、さらに注意しましょう。
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⑤売主としての対応で悪い印象
案外落とし穴であるのがこれです。家を探している側は、売主を信頼できるかという点もチェックしています。
家自体に目立った問題がなくても、売主の内見時の対応で買い手に悪い印象を与えてしまうと、少なからず取引にも影響します。
家にかぎらず、何の買い物でも気持ちよく買い物をしたいものです。住宅という大きな買い物であればなおさらでしょう。
買い手に気持ちよく買ってもらい、双方にとって気持ちのよい売買ができるためにも、一度どこかでネガティブな印象を持たれることにつながる対応をしていないか、誰かに見てもらうなど客観視して振り返ってみましょう。
内見前に家を清掃してきれいな状態にしておくことはもとより、購入希望者に対して誠実に対応することが欠かせません。
内見前に家を清掃してきれいな状態にしておくことはもとより、購入希望者に対して誠実に対応することが欠かせません。
併せて持ち家の魅力を自分の言葉でアピールすることも必要です。いずれも持ち家の売買取引に影響してくるでしょう。
売れない空き家を売る9つの手段!
なかなか売れない物件を処分するには工夫が必要です。
次に、売れない家を手放すための9つの手だてを紹介します!
①まずは近隣に声掛けを
まずは近所や周辺の地権者への声掛けをしてみましょう。
いびつな形の土地がある程度きれいな整形地になるなど、買い手にとって隣地を買うことで土地の形や接道条件がよくなることがあるためです。
接道条件がよくなり、面積が大きくなれば活用の幅も広がるメリットが生まれます。
たかが声掛け、されど声掛けです!
隣地への声掛けをしたことで、売れなかった空き家が案外スムーズに売れたり、意外な道が拓けることがあります。
ただ、売却の話は当事者同士だけで進めず、不動産会社の人を挟んでのやりとりを勧めます。
ここでもやはり双方の安心と気持ちのいい取引を買うため、大切な売買契約書の作成や売買後のトラブル対応などを考慮し、不動産会社を仲介した方が双方が安心して事を進められるでしょう。
②価格の見直しと値下げをする
次に、販売価格の見直しと値下げの検討です。なかなか買い手がつかないのは売り出しの設定価格が相場より高すぎることも考えられるからです。
買い手は適切な購入価格であることを重視して買う家を選んでいます。したがって、売れない空き家を売るためにはまずは値下げの検討が現実的な対策でしょう。
また、戸建てのチラシなどで掲載されている売り出し価格と成約価格(実際に売買が決まった価格)に2割以上の差がある数値を見たことがある方もいるかと思います。
この傾向は過去10年を見ても大きな変化はなく、最終的には叩き売りのように値引をして売却したという人も多くいます。
このため、売れない空き家の処分にはまずは今の価格の2割以上を目安に値下げをすることが現実的です。
可能性として、売れない空き家を売るには相当な値引きと覚悟がいることは知っていて損はないでしょう。
家を売り出す際には相場を踏まえた現実的な価格設定を基本としつつ、様子を見ていきながら値下げしていくとよいでしょう。
ただ、一度値下げをしたあとに再度値上げするのは難しいため、値下げをする際は安易に価格を下げすぎないことにご注意ください!
金額は不動産会社の担当者とよく話し合って決めることをおすすめします。
当協会にご相談いただいた方にも、上記のようにご案内し、相談者様にとって損のない売却計画ができるようサポートさせていただいております。
③リフォームして売却する
建物や設備が老朽化している場合、ハウスクリーニングだけでは不十分かもしれません。建物の状態が悪い場合、以下のリフォームを検討してみましょう。リフォーム後に空き家を売却すると売れる可能性を高められます。
- 屋根、外壁の補修
- 水回り、ドアの交換
- クロスの貼り替え
- 畳からフローリングへ
- 内窓の追加
- 耐震補強
このように内装や設備を一新することで古い印象が払拭され、買い手に好印象をもたらす結果購入意欲を高められるかもしれません。
ただ、リフォームしたからといって必ず売れるわけではないことを頭に入れた上で、必要以上にお金をかけすぎないよう気をつけましょう。
リフォームしました、でも売れませんでした、ではお金の無駄になりかねません。
買い手の多くは家の状態だけでなく、立地なども考慮の上で物件を選び、購入に至ります。
もしくは買い上げ後、自分好みに仕立ててリフォームしたいと考える買い手もいます。
売却にあたり、リフォームをした方がいいか、売却につながるリフォームはどうしたらベストか、迷った場合は事前に不動産会社に相談の上での検討をおすすめします。
④空き家バンクに登録する
あまり期待値は高くはないものの、知っていて損はないのが空き家バンクです。
空き家バンクとは自治体が運営する不動産情報サイトで、空き家を「売りたい・貸したい人」と、「買いたい・借りたい人」をつなげるサービスです。
売れない空き家は、ためしにこの空き家バンクに登録してみることもやってみる意義はあるでしょう。
空き家バンクには通常不動産会社が取り扱わない物件も掲載されており、「これぞ隠れ優良物件!」といった思わぬ掘り出し物との遭遇もあります。
このため隠れたお宝物件を目当てに敢えて空き家バンクを通し、物件の物色をしている人もいるほどです。得体の知れない業者ではなく、自治体運営というのも安心のひとつでしょう。
ただ、自治体はあくまでも情報提供の場を設けているだけであり、物件が売れない場合の保証や販促サポートをしてくれるわけではありません。
あまり希望を置きすぎず、あくまで「成約の期待値はそこまで高くないけどやらないよりは多少まし」の位置づけで、選択肢のひとつとして頭に入れておくといいでしょう。登録しておけばその分人の目に触れる機会が増え、売却できる確率は多少高まることは確かです。
物件も一期一会。
もしかしたらあなたの登録した空き家が誰かの目に留まり、見た人が「これぞ未知の隠れ物件との遭遇・・・!」ということもあり得るかもしれません。
⑤不動産会社を変更する
不動産会社を変えるのも選択のひとつです。
より自分に合った不動産会社と出会う確率を上げるため、選択の際は一社だけでなく複数社を比較することをおすすめします。どんな物件を探している買い手が集まりやすいかを意識するといいでしょう。
売却の可能性が高まる不動産会社として、以下のような会社があります!
売却の可能性が高まる!①古民家を扱う不動産会社
ひとつ目は、古民家を扱う不動産会社です。
古民家の人気が高まりつつある昨今、古民家とはいえ築40年ほどで古民家の名目で売られている物件もあります。
古民家を専門に取り扱う不動産会社には、古い家を好んで探す買い手が集まってくる傾向があります。
このため、古い家の売却確率が自ずと上がります。
売却の可能性が高まる!②工務店系の不動産会社
二つ目は、工務店系の不動産会社です。
工務店系では購入後のリフォームを前提とした買い手が集まってくる傾向があります。工事費と物件価格をセットで考えているため、予算に合えば古い家でも買ってくれる可能性は高まるでしょう。
いずれにせよ、不動産会社を選ぶ際は、どんな物件を探している買い手が集まってきやすいのかを意識するとよいでしょう。
また、不動産売却の無料一括査定サイトの利用を検討することもひとつの手です。こちらは複数社に連絡したり足を運ぶ手間をかけずして、余計なエネルギーを省きながら自宅で査定を受けられる点がメリットです。
当協会では不動産会社に売却を断られたり、売り手が見つからなかった物件をお持ちの方にもご相談いだだくことがありますが、すべて売却につながっています。
以下から画面上で完結する売却査定ができますので、ぜひお試しください!
また、売り出し前の物件内の片づけや清掃をしたい場合も丸ごとサポートが可能です。
まずは無料の現地調査のご検討はいかがでしょうか?気になった方はぜひ、お問合せください。
⑥更地にして売る
空き家が売れない場合、取り壊して更地の状態で売ることも対処法のひとつです。
空き家の取り壊し費用は、木造戸建ての場合、目安として坪4万円~5万円程度かかります。
30坪ほどの一般住宅であれば、取り壊し費用としては120万円~150万円がおおよその目安となります。
更地にするメリットとして、注文住宅を建てたい人や不動産会社といった資金力の高い人たちを狙えるため、売却しやすくなります。また、更地状態で売却すれば、買い手に解体費用なしで購入後自由に土地を活用できるメリットももたらします。
老朽化がかなり激しく、利用価値のない空き家が残った状態であれば、買い手は家屋の解体が必要となる可能性があります。
解体費用を負担してまでの購入は、ハードルが高いでしょう。老朽化が激しい空き家の場合、メンテナンス費用を解体費に回し、更地にするのもひとつの手です。
同時に、コスト面の負担は頭に入れておきましょう。空き家の解体費用発生に加えて固定資産税の特例が適用外になり節税ができなくなるため、注意が必要です。
⑦買取業者に依頼する
不動産会社へ直接家屋を売却する方法です。
早期売却希望であれば、不動産会社に仲介ではなく、買取依頼が有効でしょう。
売却活動が不要で、不動産会社に示された査定額に納得すれば売買契約に進めます。
このため、空き家が遠方にあり、長期にわたる内見の対応やスケジュール管理が心配な方にも向いています。古屋付き物件を買う不動産会社は、買い取ったあと自分たちで解体し転売することが一般的です。
このため、解体費と不動産会社の転売利益の分だけ価格が安くなります。
「古屋付き土地」物件の場合、買い取りによる売却価格の目安は仲介による価格の50%程度が相場になります。注意点としては、仲介での売却と比べると一般的に市場価格よりも売却価格が低くなりやすいことです。これは家のリフォーム費用や解体費用などを不動産会社側が負担するためです。同時に売却の際、売り手が仲介手数料やリフォーム費用などの負担をしなくてもよい点はメリットでもあります。
しかしながら売却活動することなく不要な空き家を処分でき、売却益も得られるメリットは大きいです。不動産会社に買取依頼の話をもっていく価値は十分にあるでしょう。買取では不動産会社が買い手となって家を直接買取るため、スピーディかつ確実に現金化できるところもポイントです。
⑧国に引き取ってもらう
相続した土地であれば、「相続土地国庫帰属制度」の申請も可能です。2023年(R5年)4月27日から始まっており、相続した土地を国が引き取る制度です。
ただし、すべての土地を引き取ってもらえるわけではなく、建物が残っている場合は申請することさえできないため、解体して更地にする必要があります。
このほか10年分の土地管理費相当額を納める必要があること、土壌汚染や崖がないことなど複数の要件をクリアしなければならず、その上で審査手数料もかかります。
制度のポイントやフローチャート(クリックで法務局資料を確認)を確認の上で検討しましょう。
国に引き渡したい土地が住まいから遠方にある場合、住まいの近くの法務局(本局)にも相談ができます。
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持ち家を売るために
今回は持ち家が売れない理由や売るための方法を解説しました。
売れないまま空き家を放置しておくとデメリットの側面が大きくなるため、早めの処分をおすすめします。
しかし立地や築年数の古さなどが足かせとなり、「売りたくても売れない!」と頭を抱えている方はいらっしゃいませんか?
当協会では主に相続や、空き家の売却・活用・管理・解体のご相談をいただき、適切な解決策のご提案ともに、業者を無料でご紹介しています。
「いろいろ選択肢があるのは分かるが、今どの選択が最善なのか分からず進みあぐねている」という方、
売れずにお悩みの持ち家を売るためのサポートもできますので、ぜひ一度私たちにご相談ください。
ゆくゆく空き家の相続を予定している方だけでなく、空き家の老朽化が進んでいて今後の売却方針にご不安のある方もお役立てください。
ご一緒に今後の手だてと道を拓いていきましょう!