2018年の調査によると、江戸川区の空き家数は訳33000戸あると言われています。
空き家マッチング事業等、自治体も精力的に空き家対策をしているものの、空き家の増加は止まらず、解決までには至っていないというのが現実です。
空き家は自分の親が住んでいた、いわゆる実家を突然相続することになった、というケースが多いため、相続後の売却や活用が煩雑で手が回らないというケースも多いでしょう。
そこで今回は江戸川区で相続した実家を売却する場合の注意点を紹介していきます!
譲渡所得の特例を適用しよう
他にも細かい注意点はあるものの、本記事でぜひとも取り上げておきたい注意点が、「相続した実家を譲渡した際の3,000万円控除」という特例を使うことです。
この実家に関して、国税庁のホームページでは「被相続人の居住用家屋」と称されており、これに当てはまる条件として、
・昭和56年5月31日以前に建設されたこと
・区分所有建物登記(マンションの一室毎にされる登記)がされている建物でないこと
・相続開始の直前において被相続人以外に居住していた人がいなかったこと
・対象となる家屋に直前まで人が住んでいたこと
があり、これをクリアすれば、「被相続人の居住用家屋」とみなされます。
また被相続人が死亡する直前に家を空けていた場合でも
・老人福祉法に指定される老人ホームに入所していた
・被相続人の物品を保管していた
・被相続人が不在時、事業または賃貸用の家屋として扱われなかった
という条件に当てはまれば、同じく「被相続人の居住用家屋」とみなされます。
3,000万円控除特例の仕組みと条件
「相続した実家を譲渡した際の3000万円控除」ですが、基本的な考え方は「譲渡所得の3000万円控除」と同じです。
実家を売却した際に発生した売却利益を譲渡所得と言うのですが、譲渡所得税はこの譲渡所得に対して課税されます。この時に譲渡所得を3,000万円減額して税金の計算ができるということです。
相続人にとって非常に有利に働く特例ですが、特例適用のためにはいくつか条件があります。
・相続または遺贈によって空き家およびその敷地を取得した人がそれらを売却すること
・相続があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること
・売却代金が1億円以下
・他の特例を適用しない
・同一の被相続人から相続された物件が同じ特例を適用していない
・血縁関係のある人、内縁関係にある人、そのような人が経営する会社に売却しない
以上の条件を満たすことで特例を適用することができるのです。
特例を使う際に注意するポイント
上記で触れた条件を満たしたとしても、これで特例が使えるぞ!とはなりません。
特例を使うためにはまず
・被相続人居住用住居を売却する(実家をそのまま売る)
・被相続人居住用住居を解体した後にその敷地を売却する(更地にして売る)
のどちらかで売却しなければならず、更に前者の場合
・相続から譲渡までに事業や賃貸のために使われていない
・譲渡の際に一定の耐震基準を満たすこと※
後者の場合は
・相続から解体までに事業や賃貸のために使われていない
・相続から譲渡までに事業や賃貸のために使われていない
・解体から譲渡まで建物や構造物の敷地として用いられていない
という条件を満たさなければなりません。
※こちらの条件ですが、空き家対策特別措置法の改正により譲渡後に買主が耐震工事を行った場合でも3,000万円控除を受けられるようになりました。
耐震工事をしているかどうか、事業用に使っていないかどうか、という2点はかなり重要です。
江戸川区には耐震工事の助成制度がある
江戸川区では耐震工事の助成に力が入れられています。
戸建て住宅に対しては
・戸建住宅耐震改修設計等助成制度
・戸建住宅耐震改修工事助成制度
といった制度があり、下記の条件を満たしている物件なら助成を受けられます。
~戸建住宅耐震改修設計等助成制度~
・昭和56年5月31日以前の旧耐震基準で建築された戸建住宅、長屋または共同住宅であること
・所有者が個人であること(法人ではないこと)
・賃貸住宅の場合は、木造であること
・店舗等がある場合は、その部分の面積が延床面積の2分の1未満であること
・非木造住宅の場合は、建築確認時の図書、構造計算書、検査済証等があること
・過去に区の助成制度を利用した診断・設計等が実施されたことがないこと
・違反建築ではないこと
~戸建住宅耐震改修工事助成制度~
・江戸川区戸建住宅耐震改修設計等助成事業による耐震改修設計等が実施されたこと
・昭和56年5月31日以前の旧耐震基準で建築された戸建住宅、長屋または共同住宅であること
・所有者が個人であること(法人ではないこと)
・賃貸住宅の場合は、木造であること
・店舗等がある場合は、その部分の面積が延床面積の2分の1未満であること
・非木造住宅の場合は、建築確認時の図書、構造計算書、検査済証等があること
・過去に区の助成制度を利用した耐震改修工事が実施されたことがないこと
・違反建築ではないこと
助成制度の注意点
上記の助成制度を受ける際、1点気を付けなければならない注意点があります。
それは助成制度を申請する条件として、
「売却目的では申請できない」
という条件があることです。
つまり譲渡所得の控除を受けるための耐震工事では助成金を受けられないことになります。
助成をきちんと受けられるようにするには実家を相続すると決まる前に、被相続人が実家にいるときから耐震工事を行っておく必要があります。
事前の準備が大切になるでしょう。
さいごに
実家の相続や今後についてお考えの方は一度東京空き家相談協会にご連絡ください。
東京空き家相談協会には税理士の先生が在籍しており、空き家の相続にかかわるご相談も可能です。
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