相続放棄は相続人が相続できる財産の一切を受け取らないようにすることを指します。
相続財産に借金が多い場合などに取ることが多い方法で、
これを行なった後は相続財産に関する処分がほとんど不可能になります。
今回は相続放棄を行った後にやってはいけないこと、例外的にできることを紹介していきます。
- 相続放棄を検討中で注意点を知りたい
- 相続放棄ってそもそもどういうこと?
このような方はぜひ最後までお読みください!
相続放棄後に相続財産を処分すると・・・
相続放棄後に相続財産を処分すると相続放棄が無効になる場合があります。
相続放棄の前後にかかわらず、相続財産の全部または一部を処分・消費した場合には「法定単純承認」が成立します。
単純承認とは被相続人の遺産を全て相続することを指しますので、
相続放棄が認められなくなるほか、すでに受理されている相続放棄も無効となってしまいます。
相続放棄後にやってはいけない財産処分例
相続放棄後にやってはいけない財産処分には次のようなものが含まれます。
- 被相続人の預貯金の引き出し・解約
- 被相続人の不動産の売却・解体
- 被相続人が借りていた住居の解約
- 被相続人の車の売却
- 弁済期が到来していない相続債務の支払い
- 高価な財産の形見分け
以上のことをしてしまうと、相続放棄が認められなくなる可能性が高いです。
相続放棄後でも例外的に認められる財産処分
相続放棄をしても例外的に行える財産処分も存在します。
以下の行為は相続放棄後にも認められることがあります。
- 保存行為
- 短期賃貸借
- 社会通念上相当な範囲内の葬儀費用の支出
- 経済的に価値がない財産の形見分け
以下で具体的に解説していきます。
相続放棄後でも認められる財産処分①保存行為
相続財産の価値を保存して、現状を維持する行為を保存行為と言います。
保存行為に関しては相続放棄後も行える、財産に対する処分行為として定められており、
具体的には以下のような行為が該当します。
- 壊れそうな建物を、保存に必要な範囲内で修繕する
- 腐敗している物を処分する
- 被相続人の債権の消滅時効完成を阻止するため、債務者に対して請求を行う
- 被相続人の債権の弁済を受けたあと、相続財産として保管する
ただ、これらの行為を積極的に行う必要はなく、
あくまで相続財産の保存義務を負うようなケースが発生する場合に保存行為を行うことが重要です。
相続放棄後でも認められる財産処分②短期賃貸借
相続財産の種類ごとに以下の期間を超えない賃貸借は、法定単純承認の対象外とされています。
それぞれの財産に適用される短期賃貸借の期間は次の通りです。
財産の内容 | 短期賃貸借の期間 |
---|---|
樹木の栽植または伐採を目的とする山林の賃貸借 | 10年 |
上記以外の土地の賃貸借 | 5年 |
建物の賃貸借 | 3年 |
動産の賃貸借 | 6ヵ月 |
相続放棄後でも認められる財産処分③社会通念上相当な範囲内の葬儀費用の支出
葬儀費用は被相続人を弔う費用なので、適切な範囲内の金額であれば相続財産の処分には該当しないとされています。
ただ社会通念上相当な範囲内の葬儀費用というのは判断が難しく、被相続人の債権者から葬儀の内容を指摘され、
トラブルになるケースもあります。
出来れば葬儀費用は相続人の固有財産から支出した方が良いでしょう。
相続放棄後でも認められる財産処分④経済的に価値がない財産の形見分け
家族写真のように、家族内でしか価値のない財産を形見分けする場合には相続放棄をしていても問題ないケースがほとんどです。
法定単純承認は成立しないでしょう。
ただ、中には経済的価値の観点から形見分けできるか微妙な財産もありますので、
形見分けできるかわからないものに関しては専門家に相談しましょう。
相続放棄後に相続財産の管理が必要なケース
相続放棄の時点で「現に占有する相続財産」がある場合は、
ほかの相続人や相続財産清算人に引き渡すまで保存義務を負います。
親名義で一緒に生活していた実家などは相続放棄をしても保存義務を負うので注意が必要です!
早急にほかの相続人または相続財産清算人に相続財産を引き渡し、相続放棄を完了させましょう。
相続財産を引き渡す際は、引き渡したことを証明する受領書を交付してもらうと安心です。
相続・相続放棄を進めたい方はこちら
相続放棄の後に行える財産処分に関しては非常に判断が難しいです。
迷った場合はまず専門家に相談するよう心がけましょう。
東京空き家相談協会でしたら税理士・司法書士・弁護士といった相続に関する専門家が在籍しているため、相続放棄に関するご相談も無料でお受けしております。
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