日本では「放置空き家」が問題となっています。
放置空き家とはその名の通りで、所有者や関係者による適切な管理がされないまま放置された空き家のことです。
さまざまな対策が進められていますが、空き家数や空き家率の減少に大きな進歩は見られていません。
その理由には、共同住宅が関係しているといえます。
今回の解説内容
- 増え続ける空き家数
- 2040年には空き家数が712万戸に増加?
- 空き家と共同住宅の関係
このままだと2040年に日本の空き家は712万戸?
5年に一度、国土交通省により実施されている「住宅・土地統計調査※」をもとに、NHKが実施した空き家数の試算によると、日本全体での空き家数は、いまの385万戸から2040年には712万戸に増加する見通しとなっています。
- 住宅・土地統計調査とは
- 国土交通省にて実施されている「住宅や土地の利用状況に関する統計調査
- 主に、住宅数、空き家数、建物構造や建て方、建築時期、土地の利用状況などが調べられています。
- 直近では2023年に調査され、2024年に公表されました。
東京都内で空き家の増加率が高い自治体ランキング
東京都内で空き家数の増加率が高い自治体は以下となっています。
練馬区 | 5.0倍 |
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多摩市 | 5.0倍 |
大田区 | 4.4倍 |
町田市 | 4.1倍 |
日野市 | 3.9倍 |
東村山市 | 3.8倍 |
立川市 | 3.8倍 |
あきる野市 | 3.6倍 |
青梅市 | 3.6倍 |
豊島区 | 3.4倍 |
また、空き家率は13.8%を記録しています。
平成30年度住宅・土地統計調査当時では、空き家数が848万9,000戸、空き家率は13.6%。そのため、以下のように増加してしまいました。
- 空き家数:約50万戸
- 空き家率:0.2%
- 和歌山県・徳島県が同率トップの21.2%
- 山梨県・鹿児島県・高知県がそれに続く
ただ、空き家数でいうと東京都がダントツでトップとなっており、これに大阪府や神奈川県が続きます。
空き家問題は都市部でも地方でも平等に起きている問題といえるでしょう。
都市部で空き家が増え続ける理由とは
実際に2023年の住宅・土地統計調査の結果でも、空き家数がもっとも多いのは共同住宅という結果が出ています。
空き家数は約900万戸を記録しましたが、そのうち放置されている、使用用途のない空き家は385万2,700戸にとどまっています。
投資用物件の増加による影響
空き家となった共同住宅は「放置空き家」ではなく「賃貸用の住宅」なのですが、このような空き家が都市部で増えている原因は投資用物件の増加にあります。
つまり「居住目的ではない物件」が増えており、マンションデベロッパーも「需要があるため建て続ける」という判断をしているため、共同住宅が過剰供給状態となっているのです。
ここで挙がる問題点が以下です。
- 少子化の影響で住宅取得の中心世代である30~40代が減少
- 日本に根強い「新築信仰」
- 国外からの投資マネー流通
- 富裕層による相続税対策
これらの問題点から、居住目的のないマンションはしばらく増加し続けるでしょう。
高齢者の一人暮らし世帯増加
国立社会保険・人口問題研究所の「日本の世帯数の将来推計」によれば、2050年の世帯総数は5,260万7,000世帯で、2020年(5,570万5,000世帯)より300万8,000世帯少なくなる見通しです。
特に未婚の一人暮らし高齢者世帯の増加が懸念されており、彼らが死亡したり、老人ホームに入った結果、住んでいた家が空き家化するという問題が起きるでしょう。
空き家となった共同住宅がもたらす影響
なぜなら、大規模修繕や建て替えに向けた居住者の合意形成が難しくなるためです。
空き家を相続した所有者が不明となるケースも多く、修繕積立金の支払いが止まれば、修繕が行なえないと資金計画も狂うことになります。
- 資産価値が下がる
- 外壁の剥離などによって事故・トラブル発生
- 戸建ての空き家と比べて運営が難しい
- 修繕計画の停滞により居住者への迷惑
また、マンションに居住する予定や、賃貸物件にする予定がない場合は、早めに売却を検討するべきでしょう。
親・自分のマンションの対処を考え始めた方へ

父親が1年前に亡くなり、父親が一人暮らししていたマンションが空き家になっています。
自分は近くに住んでいるため時々掃除をしに行っているが、正直、負担に感じています。
なかなか立地は良いが、放置期間があるためいくらで売れるか分からないが売りたいです。
上記は実際、当協会に届いたご相談です。
よく質問をいただくのですが、当協会は戸建てのご相談のみ承っているわけではありません。
- アパート・マンション
- まだ人が住んでいる管理物件
- 未相続の不動産
- 売れるか不安な家
このように、幅広くサポート対応できますので、少しでも気になった方はご連絡お待ちしております。
もちろん、セカンドオピニオンとしてのご利用も大歓迎です。