害虫駆除、残置物の処分、解体、税金。
空き家を解体するには多くの費用負担が発生します。
空き家解体のための費用負担は空き家活用のハードルを高め、放置空き家の増加の一因になっています。
2023年12月13日に空き家対策特別措置法の改正版が施行され、放置空き家に対する取り締まりは一層強化されますが、空き家解体や活用などの金銭的支援を同時に行わなければ、空き家対策は失敗に終わるでしょう。
今回はそんな空き家の解体、活用に対する支援を積極的に行っている、東京都江戸川区の補助金制度を紹介していきます。
江戸川区は耐震化に力を入れている
東京都江戸川区は空き家活用の中でも、とりわけ耐震工事に対する支援を精力的に行っています。
江戸川区の耐震化助成制度の支援対象は空き家だけではなく、戸建て住宅や分譲マンション、緊急輸送道路沿道建築物や特定緊急輸送道路沿道建築物(特定沿道建築物)までにも及びます。
建物種別や工事内容によって助成金の額は異なりますが、工事にかかった経費を一定割合助成する制度となっています。
本記事では主に戸建て住宅に対する耐震工事助成に関して解説していきます。
戸建て住宅に対する助成①耐震コンサルタント派遣制度
区が委託した建築士(耐震コンサルタント)が住宅を無料訪問し、耐震性があるかどうかの診断や、耐震化のための助言などを行う制度です。
派遣対象の物件として
・昭和56年5月31日以前(旧耐震基準)に建築された戸建住宅、長屋または共同住宅であること
・賃貸用住宅の場合、木造であること
・非木造住宅の場合、建築確認時の図書、構造計算書、検査済証等があること
・所有者が個人であること(法人は対象外)
・店舗等がある場合、店舗部分の面積が延床面積の2分の1未満であること
・耐震コンサルタントによる簡易診断が実施されたことがないこと
・区の助成制度を利用した耐震改修工事が実施されたことがないこと
・違反建築ではないこと
という条件があります。
また、申請者は次の要件を満たす場合があります。
・対象住宅の所有者または居住者であること
・居住者が申請者となる場合は、住民票上の住所が江戸川区内にあること
・耐震コンサルタント派遣について、対象住宅の所有者・共有者および居住者の全員の同意を得ていること
この派遣制度ですが、江戸川区ホームページにパンフレットが掲載されていますので、
利用してみたい方は確認してみてください。
案内パンフレット:耐震コンサルタント派遣制度(PDF:206KB)(別ウィンドウで開きます)
H3戸建て住宅に対する助成②老朽住宅除却工事助成制度
地震による倒壊危険性の高い住宅の除却・建替えを促進するため、
老朽住宅の解体にかかる工事費用を一定割合助成する制度です。
建物の解体・整地にかかる費用の2分の1を助成できます(最大50万円まで)。
助成対象になるためには、
・昭和56年5月31日以前(旧耐震基準)に建築された戸建住宅、長屋または共同住宅であること
・木造の平屋建てまたは2階建てであること
・耐震コンサルタントによる簡易診断の結果、耐震性が不十分(評点1.0未満)と判定されたこと
・所有者が個人であること(法人ではないこと)
・店舗等がある場合は、店舗部分の面積が延床面積の2分の1未満であること
・過去に区の助成制度を利用した耐震改修工事が実施されたことがないこと
・違反建築ではないこと
以上の条件をすべて満たす必要があります。
条件からも分かる通り、助成金を適用するには上述の耐震コンサルタント派遣制度を事前に受けなければいけません。
耐震コンサルタント派遣制度と老朽住宅除却工事助成制度はセットという認識で良いと思います!
こちらも案内パンフレットが掲載されてますので、確認してみましょう!
案内パンフレット:制度案内(PDF:368KB)(別ウィンドウで開きます)
必要書類と手続きの流れ:必要書類と手続きの流れ(PDF:191KB)(別ウィンドウで開きます)
戸建て住宅に対する助成③戸建住宅耐震改修設計等助成制度
住宅耐震改修工事を行う前に、耐震診断および耐震改修設計等を行う方に、必要な費用の一部を助成する制度です。
助成対象経費の8割に相当する金額が助成金の交付額となります(上限は木造で30万円、非木造で45万円)。
助成対象住宅としての条件は
・昭和56年5月31日以前(旧耐震基準)に建築された戸建住宅、長屋または共同住宅であること
・所有者が個人であること(法人ではないこと)
・賃貸住宅の場合は、木造であること
・店舗等がある場合は、店舗部分の面積が延床面積の2分の1未満であること
・非木造住宅の場合は、建築確認時の図書、構造計算書、検査済証等があること
・区の助成制度を利用した診断・設計等が実施されたことがないこと
・違反建築ではないこと
まあ申請者の要件も定められており、
・対象住宅の所有者または居住者であること
・対象住宅の耐震診断および耐震改修設計等を行うことについて、住宅の所有者・共有者および居住者の全員の同意を得ていること
・居住者が申請者となる場合は、住民票上の住所が江戸川区内にあること
・売却等の目的で耐震改修設計等を行うものではないこと
という項目を満たす必要があります。
案内パンフレットはこちらです!
案内パンフレット:制度案内(PDF:77KB)(別ウィンドウで開きます)
戸建て住宅に対する助成④戸建住宅耐震改修工事助成制度
住宅の耐震改修工事を行う際、必要な費用の一部を助成する制度です。
助成金額は助成対象経費の2分の1もしくは3分の2となります(上限は100万円または150万円)
助成対象住宅としての条件は以下になります。
・江戸川区戸建住宅耐震改修設計等助成事業による耐震改修設計等が実施されたこと
・昭和56年5月31日以前(旧耐震基準)で建築された戸建住宅、長屋または共同住宅であること
・所有者が個人であること(法人ではないこと)
・賃貸住宅の場合は、木造であること
・店舗等がある場合は、店舗部分の面積が延床面積の2分の1未満であること
・非木造住宅の場合は、建築確認時の図書、構造計算書、検査済証等があること
・区の助成制度を利用した耐震改修工事が実施されたことがないこと
・違反建築ではないこと
また申請者の要件としても
・対象住宅の所有者または居住者であること
・対象住宅の耐震改修工事を行うことについて、住宅の所有者・共有者および居住者の全員の同意を得ていること
・居住者が申請者となる場合は、住民票上の住所が江戸川区内にあること
・住民税を滞納していないこと
・売却等の目的で耐震改修工事を行うものではないこと
という条件を満たす必要があります。
案内パンフレットはこちらです!
案内パンフレット:制度案内(PDF:70KB)(別ウィンドウで開きます)
新耐震基準の建物にも助成制度あり!
ここまでお話しした助成金制度は建物の老朽化が起こりやすい、旧耐震基準の建物を対象としたものでした。
しかし江戸川区にはなんと新耐震基準の住宅を対象とした助成金制度もあります。
平成12年5月31日までに建てられた住宅までが対象となります。
新耐震基準の住宅の助成①新耐震戸建住宅耐震改修設計等助成制度
こちらは新耐震基準の住宅について、耐震改修工事の前提として、耐震診断および耐震改修設計等を行う方に、必要な費用の一部を助成する制度です。
上限30万円まで、助成対象経費の8割を助成できます。
対象住宅の条件として、先述の住宅建築時期以外にも、
・建築確認を経て建築されたこと
・店舗等がある場合は、その部分の面積が延床面積の2分の1未満であること
・在来軸組構法の木造住宅であること
・基礎がコンクリート造であること
・平屋建てまたは2階建てであること
・所有者が個人であること(法人ではないこと)
・違反建築ではないこと
・新耐震木造住宅検証法の「所有者等による検証」で「専門家による検証が必要」と判定されたこと
・過去に区の助成制度を利用した診断・設計等が実施されたことがないこと
という多くの条件があります。
申請者の要件は、「戸建て住宅に対する助成③戸建住宅耐震改修設計等助成制度」と同じでした。
しつこいようですが、案内パンフレットです!
一度ご自身の目で確認してみましょう!
案内パンフレット:制度案内(PDF:25KB)(別ウィンドウで開きます)
新耐震基準の住宅の助成②新耐震戸建住宅耐震改修工事助成制度
新耐震基準の住宅の耐震改修工事を行う方に、必要な費用の一部を助成する制度です。
助成金額は助成対象経費の2分の1もしくは3分の2となります(上限は100万円または150万円)
助成対象となるためには
・昭和56年6月1日から平成12年5月31日までの新耐震基準で建築された戸建住宅、長屋または共同住宅であること
・建築確認を経て建築されたこと
・店舗等がある場合は、その部分の面積が延床面積の2分の1未満であること
・在来軸組構法の木造住宅であること
・基礎がコンクリート造であること
・平屋建てまたは2階建てであること
・所有者が個人であること(法人ではないこと)
・違反建築ではないこと
・新耐震木造住宅検証法の「所有者等による検証」で「専門家による検証が必要」と判定されたこと
・過去に区の助成制度を利用した診断・設計等が実施されたことがないこと
という条件を満たす必要があります。
助成対象者になるための要件は「戸建て住宅に対する助成④戸建住宅耐震改修工事助成制度」と変わりません。
もう見飽きたかと思いますが、案内パンフレットです!
案内パンフレット:制度案内(PDF:67KB)(別ウィンドウで開きます)
おわりに
江戸川区は建物の耐震工事にかなりの支援をしている自治体です。
空き家の活用にも大きく役立つでしょう。
しかしここまで読んでみてわかるように、助成金の種別が多く、どの助成金が適用されるか、どのように空き家を処分すべきか一人では判別できないかもしれません。
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