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相続発生後に相続人がいない場合の対処法

更新日:2024年4月3日

この記事は6分で読めます

親や親族が亡くなると、その後に「遺言」または「遺産分割協議」による相続が行なわれ、相続人は各自財産を処分していくことになります。

ここで、相続人が全く見つからなかったらどうなるでしょうか?

ここで、本記事では相続人が全く見つからなかった場合について、以下を解説します。

今回の解説内容

  • 相続人が見つからないケースとは
  • 相続人が見つからない場合の対処法

相続人がいないケースとは

三世代家族イメージ画像

 

まずはじめに、相続人がいないとは以下のケースが挙げられます。

相続人がいないケース
  • 法定相続人がいない
  • 相続人全員が相続放棄した
  • 相続人と連絡がつかない
  • 相続欠落・廃除になった
  • 内縁関係などの特別縁故者はいるが、遺言書がない

関わりたくないなどの理由で相続人と連絡がとれず、実家が空き家のまま放置されるケースも増えています。
ケースごとにご紹介します。

法定相続人がいない

法定相続人とは
民法で定められた故人の遺産を相続する権利を持つ人です。
法定相続人とは「相続順位」といい、相続の優先度があります。

 

親や身内が亡くなった後にすること

 

相続順位
第1順位 配偶者と子ども
第2順位 配偶者と親
第3順位 配偶者と兄弟姉妹

 

第1順位の人が不在ならば、第2順位という形で法定相続人が変わります。
法定相続人が誰も存命ではない場合は、相続人不在となります。

相続人全員が相続放棄した

相続放棄とは
相続予定だったすべての財産(資金・借金)を放棄することです。

相続放棄した人は相続人とみなされないため、存命であったとしても相続人がいない状態となります。

相続人と連絡がつかない

相続人の消息がわからず、行方不明の時は相続人がいない状態になります。

行方不明の期間が7年以上経過すると「失踪宣告」で亡くなった人とみなされます

行方不明の期間が7年以上経過すると、家庭裁判所で「失踪宣告」を申し立てることで当該相続人の相続手続きもあわせて進めることも可能となります。

相続欠落・廃除になった

相続欠落とは
遺言書の変造、破棄、相続争いで他の相続人を殺したなどの理由があると、「相続欠落」になり、相続の権利を失います。
相続廃除とは
亡くなった被相続人に虐待や侮辱など重大な不利益を生じさせた相続人は「相続廃除」となり、相続の権利を失います。

これにより、相続人全員が相続の地位を失った時も、相続人がいない状態になります。

内縁関係などの特別縁故者はいるが、遺言書がない

以下のような特別縁故者は指定相続人となることができます。

 

  • 被相続人と生計を同じとしていた者
  • 被相続人の療養看護に努めた者
  • その他被相続人と特別の縁故があった者

 

指定相続人とは遺言書によって指定される相続人のことで、遺言書がない場合は相続人がいない状態となります。

相続発生後に相続人がいない時の流れ

相続人がいない場合、大まかに以下の段階を踏んでいきます。

 

  1. 相続財産清算人が立てられる
  2. 財産を承継する者がいないか調査される
  3. 国に帰属する

相続発生後に相続人がいない時の対処法

対処方法を解説

 

ここからは、相続発生後に相続人がいない時の対処法をご紹介していきます。

相続発生後に相続人がいない時の対処法
  • 相続放棄者などの関係者に連絡をとる
  • 家庭裁判所で相続財産清算人の選任申立を行う

次項から、相続財産が国に帰属するまでにやるべき対処法を解説していきます。

相続放棄者などの関係者に連絡をとる

相続人全員が相続放棄した場合、放棄者や被相続人の債権者、特別縁故者などに連絡をとり、相続財産清算人の選任申し立てを進めます。

申し立てができるのは、利害関係人もしくは検察官です。

利害関係人に該当するのは、以下の通りです。

 

  1. 債権者
  2. 特定受遺者
  3. 特別縁故者

家庭裁判所で相続財産清算人の選任申し立てを行なう

被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所で、相続財産清算人の選任申し立てを行ないます。

亡くなった人の財産の内容などを考慮し、家庭裁判所が適任であると認めた人が相続財産清算人となります。

弁護士や司法書士などの専門家が選ばれるケースがほとんどです。

選任後は財産を承継する者がいないかどうか、下記の流れで調査していきます。

財産を承継する者の有無の調査の流れ

調査の流れ

  1. 官報に公告
  2. 債権者・受遺者に対する請求申し出の公告
  3. 相続人捜索の公告
  4. 相続を主張する者がいない
  5. 相続人不存在の確定
  6. 特別縁故者の財産処分の申し立て
  7. 相続財産清算人は相続財産分与の審判により事情を考慮し、財産の一部または全部を与える

上記を流れに落とし込むと、以下の通りです。

はじめに相続財産清算人を選任したことを2ヵ月にわたって公告します(①)。
2ヵ月間連絡がない場合、更に2ヵ月待ってから債権者・受遺者に対する請求申し出の公告をします(②)。
それでも申し出がない場合、相続人捜索の公告をし、6ヵ月待ちます(③)。
期間内に相続人が現れない場合(④)、相続人の不存在が確定します(⑤)。
相続人不存在が確定して3ヵ月以内に、被相続人の生前の住所地を管轄する家庭裁判所に特別縁故者の財産処分の申し立てを行います(⑥)。
申し立て後、縁故関係の内容について調査し事情を考慮したうえで、特別縁故者に財産の一部または全部を引き渡します⑦。

相続財産を国庫に帰属させる

以上手続きをふまえて、相続先がない財産については国に帰属することになります。
これを「相続土地国庫帰属制度」といいます。

相続財産を国庫に帰属したら、相続財産清算人は管理終了報告書を家庭裁判所に提出し、管理事務終了となります。

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この記事を書いた人

一般社団法人東京空き家相談協会 相談員 小峰千波

一般社団法人東京空き家相談協会

小峰千波

当協会の「空き家ジャーナル」は各専門家が監修しております。学生時代からまちづくりに関心があり、地元をはじめとした地域活性化活動や環境経営に携わっていた。 故郷の過疎化を感じ、人が生きやすく集いやすい環境づくりがしたいと感じ、 現在は一般社団法人東京空き家相談協会の相談員として、ご相談者様に寄り添ったサポート活動をしている。 自然と動物が好きです。