悪質な不動産仲介業者の特徴のひとつとして挙げられるのは、
「囲い込みをしている」ということです。
囲い込みは不動産業者には非常に有益な行為ですが、顧客にとっては損でしかありません。
これから所有している物件の仲介を頼む人が囲い込みの罠に引っ掛からぬよう、
今回は囲い込みとは何なのか、なぜ行われるのかを解説します。
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囲い込みとは
囲い込みとは不動産仲介業者が買主・売主の双方から仲介手数料をもらうため、
他者と媒介契約を結ぶ顧客に対し、仲介をしている物件を不当に紹介しないことです。
通常不動産仲介をした際の仲介手数料は最大でも、
成約価格の3%+6万円+消費税
となっており、これ以上は受け取ることができません。
この上限は、売主・買主のどちらか一方から受け取れる金額の上限であり、
売主・買主両方と媒介契約を結んでいた場合には先述の金額の2倍が手数料として受け取れることになります。
これを両手取引と呼びます。
不動産仲介会社の営業マンの多くは1期ごとに獲得すべき仲介手数料の数字が決まっており、決められた目標を達成するためにも、両手取引を目指します。
この際に囲い込みが行われている可能性があるのです。
大手不動産仲介は囲い込みが多い!?
2023年不動産業統計表を見てみると、大手不動産仲介は囲い込みをしている割合が高いのではないか、という興味深いデータを見ることができます。
こちらは大手不動産仲介の手数料率と両手取引比率を示したものになります。
会社名 | 手数料率 | 両手取引比率 |
住友不動産販売 | 5.20% | 57.47% |
東急リバブル | 4.54% | 37.50% |
三井不動産リアルティ | 4.75% | 43.82% |
野村不動産グループ | 4.27% | 29.34% |
三井住友トラスト不動産 | 4.41% | 33.72% |
相鉄不動産販売 | 5.37% | 62.81% |
手数料率は両手取引をしていなければ3%を超えることはまずないため、多くの仲介業者が両手取引をしていることが見て取れます。
ただ両手取引をしているといっても、すべての取引が悪質な囲い込みによって行われたものではないので注意です。
特に大手不動産仲介は抱えている顧客が大変豊富なため、買主と売主を自社内で探すことなど容易です。
全国規模で支店があるような会社は、各支店の顧客にアプローチできるため、両手取引ができる確率はなおさら高くなります。
両手取引=悪というわけではなく、あくまで悪質な囲い込み=悪という点に気を付けましょう。
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囲い込みの手口
囲い込みを狙う不動産仲介業者が良く行うこととしては次のことが挙げられます。
囲い込みの手口①あえて一般媒介契約を結び、物件をレインズに載せない
専属媒介契約、専属専任媒介契約を結んだ場合、物件を東日本不動産流通機構(通称レインズ)に載せる義務が生じ、物件の存在が周知されます。
そうなると、両手取引にするために自社で取引相手を探す、ということが難しくなるので、あえて一般媒介契約を交わす場合があります。
通常、自己発見取引が自由にできる一般媒介契約は不動産会社にとっては好ましいものではありません。
根拠なく一般媒介契約を勧められた場合には注意しましょう。
囲い込みの手口②レインズに詳細情報を載せず、他社から連絡が来ても応じない
レインズに物件を載せている場合でも、図面を載せないなどしている場合には囲い込みをしていることが考えられます。
物件情報は文字情報だけではわかりにくく、図面などがあって初めて物件の詳細がわかるものです。
そのためレインズに物件の詳細を載せないことで、他社の問い合わせ意欲を削ごうとしているのです。
仮に他社から問い合わせが来た場合は、囲い込みをするために理由をつけて応じない、ということもあるようで、そのような業者とはすぐに契約を解除すべきでしょう。
レインズを確認して、図面が登録されていない、広告掲載をしているのにあまりにも内覧申し込みが少ない場合は注意です。
囲い込みの売主にとってのデメリット
囲い込みが売主にもたらすデメリットは
- 売却期間の長期化
- 売却価格が下がる可能性がある
という2点です。
囲い込みをしている場合、両手取引を実現するために、仲介業者が自社内で顧客を探します。
予定よりも売却期間が延びたり、売却時期が後ろ倒しになることで、周辺相場価格がいつの間にか下落し、納得のいく価格で不動産が売却できない、ということも起こりうるのです。
囲い込みを防ぐためには
囲い込みを防ぐには、不動産仲介会社、営業担当者の姿勢を見極めるために、売り手側も積極的に質問することが大切です。
例えば「両手取引にこだわらずに売ってもらえますか?」「あなたの会社は片手取引でもよしとしていますか?」など、気になることは必ず質問してみましょう。
一般媒介契約を勧められた時には、「なぜ専任媒介ではないのですか?」といった質問も効果的です。
営業担当者とコミュニケーションをしっかりとることで、余計な囲い込みのリスクを減らせるでしょう。
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