法律行為において、親子間・親族間で最も諍いが起きやすいのが相続に関するもので、特に不動産の相続は数年単位の時間がかかる場合もあります。
時には法律事務所などに「特定の子に相続させたくない」といった相談が寄せられることもあるようです・・・
そのようなことは本来可能なのでしょうか?
特定の子に相続させないことはできるのか?
結論から言ってしまうと、原則不可能です。
通常財産の相続が発生する前に、被相続人は相続人と相続分を定める遺言書を書く場合が多く、
その遺言書内には「特定の子供に相続をしない」旨の記載はできます。
しかし、兄妹以外の法定相続人(被相続人の配偶者・親・子供)には「遺留分」という、最低限の相続分が保証されており、
子供の場合は法定相続分の2分の1を他の相続人に対して請求することができます。
そのため、遺言書に子供の相続分を一切書かなかったとしても、子供本人が遺留分侵害額を請求すれば、簡単に財産を相続することができます。
補足すると、遺留分侵害額とは「侵害された遺留分を取り戻す権利」です。
遺留分侵害額請求権は、遺留分を侵害された法定相続人が、受遺者(特定財産承継遺言により財産を継承し、または相続分の指定を受けた相続人を含む。)または受贈者に対して、遺留分侵害額に相当する金銭の支払いを請求できる権利のことです。
民法第1046条第1項に記載されています。
子供が相続できないケース
上記で触れたように、子供には遺留分が定められているものの、一定のケースを満たせば遺留分が認められない場合があります。
そのケースは以下の通りです。
子供が相続できないケース①相続人に欠格事由がある
子供に相続が認められない欠格事由がある場合は、子供は相続権を剥奪されます。
その欠格事由は以下の4つです。
①被相続人や同順位以上の推定相続人を故意に死亡させた場合
②被相続人が殺害されたことを知って告訴や告発を行わなかった場合
③詐欺、強迫によって、被相続人の遺言を妨げたり、撤回・取り消し・変更をさせた場合
④被相続人の遺言書を偽造、変造、破棄、隠匿した場合
以上の条件のいずれかが当てはまれば、子供の相続権はなくなりますが、
どれも事件性のある条件のため、なかなか当てはまらないケースだと言えるでしょう。
子供が相続できないケース②推定相続人廃除の手続を経ている
遺留分を有する相続人が、被相続人に対して虐待もしくは重大な侮辱を加えたとき、
またはその他の著しい非行があった場合には、被相続人は家庭裁判所に推定相続人廃除の請求をすることができます。
・被相続人名義の預貯金の多額の使い込み
・被相続人に対して、繰り返し暴行を加える、度が過ぎる暴言を日常的に繰り返す
といった行為があった場合には、推定相続人廃除の手続が認められる可能性が高いです。
推定相続人廃除の手続は生前に被相続人が自ら家庭裁判所に調停や審判を申し立てる方法のほか、遺言で行うことも可能です。
しかし「虐待があった」「金を盗まれた」といった抽象的な申立では手続きの認可はされません。
推定相続人にとっても大きな影響がある手続きですので、裁判所も手続きの認可に対してはかなり慎重な姿勢をとるでしょう。
子供が相続できないケース③遺留分放棄をしている
遺留分を有する相続人は、被相続人の生前に家庭裁判所の許可を得て、あらかじめ遺留分を放棄することができます。
このケースでは子供が自分から遺留分を放棄する意思表示を示します。
そのため、子供に相続をさせないために行うものではなく、当然無理やり放棄させることも不可能です。
家庭裁判所によると、遺留分放棄の許可を認めるためには、
放棄が自由意思に基づくものであることや、放棄に必要性・合理性があることが重要なようです。
しかも仮に遺留分を放棄したとしても相続人の権利ははく奪されないので、子供に相続させたくない場合は遺留分を放棄したうえで「子供に相続を指せない」旨の遺言書を作らなければいけません。
相続をお考えの方や、お困りの方はこちら
相続に関してお悩みがある方は以下の画像をクリックして東京空き家相談協会にご相談ください。
当協会には税理士、司法書士、弁護士といった相続に関する専門家が在籍しており、相続や税金関連のご相談に自信をもってご対応できます。
また相続財産に不動産がある場合には、そのまま不動産の利活用や売却、解体なども解決させることができます。
相談者様からのヒアリング後、一人ひとりのご状況やご意向に合った適切な解決策を提示し、当協会と提携している優良事業者を無料で紹介させていただきます。
ぜひご連絡ください!