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持ち家があるかぎり逃れられない税金といえば固定資産税。
毎年発生しますが、実際の固定資産税額は市区町村によって算出された額面が固定資産税の納付書に記載されているため、自分で計算しなくても問題はありません。
ただ毎年発生する家の維持費のため、これが負担に感じている人は多く、安くできるに越したことはありません。
本記事では戸建ての家の固定資産税をメインに、金額の目安や軽減方法などを解説します。
そもそも固定資産税とは?
そもそも固定資産とは土地や住宅など、文字通り固定資産にかかる税金です。
地方税であり、住んでいる市区町村に納めます。
土地とは私たちの身近にある住宅地や田畑、山林、池沼、温泉などの鉱泉地、原野や牧場などの土地をいいます。
家屋については住宅(戸建ての家や分譲マンションなど)やお店、発電所や変電所なども含めた工場、倉庫などの建物が例です。
このほか固定資産の種類には償却資産(法律のおカタい表現では「土地および家屋以外の事業の用に供することができる資産」)があります。
具体的に何なんだ?といいますと、以下が含まれます。
- 会社などの事業者が持っている構築物(フェンスや広告塔など)
- 飛行機や船
- 車両や運搬具(トロッコや鉄道など)
- および工具や装置などの備品
たとえば身近にある、普段使われていないような工場設備(遊休・未稼働資産)なども、
いつでも稼働できる状態であれば償却資産として固定資産税が課せられます。
いつ誰が払うのか
固定資産税は原則、年4回の納期ごとに分割して支払うしくみになっています。
支払い時期は毎年1月1日時点で不動産を持っている人が対象となりますが、実際の支払いはその年の4月から始まります。
納税通知書が送られてくる時期は市区町村によって異なりますが、
通常4月~5月ごろに納税通知書と振込用紙が郵送され、6月・9月・12月・2月の各月に分割して支払います。
金額と各期ごとの納期限を確認し、滞納しないよう細心の注意を払って納めなければなりません。
というのも、滞納すると給与や財産、最悪の場合家や土地そのものが差し押さえられるハメになります。
以下は納税通知書のイメージ画像です。
市区町村により支払い方法は異なり、クレジットカード決済やスマホ決済に対応している場合もあります。
年金などとは違い、一括で支払う場合でも割引はなく、一括で払ったからといって特段メリットはありません。(割引がないのがデメリットともいえます)。
不動産の所有権を1月1日時点で持っている場合、その年の固定資産税の納税義務者となります。
「固定資産税課税台帳」に登録されている人が固定資産の所有者とされ、固定資産税の納付義務が課されるため、実際に住んでいなくても支払いの義務があります。
新築や購入の場合、納税は翌年の1月1日から始まり、翌年の4月から支払いが始まります。
その年の途中で家を手放す予定があったとしても、その一年分は支払わなければなりません。
そしてこの納めたお金がどこへ行くのかというと、固定資産税として納税されたお金は私たちの日々の暮らしを支える財源として活用されています。
固定資産税は普通税(税収の使途が定められていない税)であり、
徴収した市区町村により、私たちが日々使っている道路や学校、公園など日々の暮らしで利用する公共施設の整備のほか、介護や福祉などの行政サービスにも使われているというわけです。
納めたお金の行方を新たに認識しますと、ただただ国に無意味に吸い取られているのではなく、まさに税金あっての私たちの日常生活が成り立っているということです。
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相場やいかに?
そしてその相場ですが、固定資産税は建てられている地域の地価や建物の種類、使っている資材、築年数といったさまざまな要素によって変動するため、一概にどのくらいということはいえません。
住宅の場合、建物と土地にかかる固定資産税を合算して支払い、
一般的な一軒家であれば土地・建物のそれぞれを合計して年間およそ10万円~15万円程度が目安とされ、月々に換算すると1万円程度の税金が必要です。
その上で、面積が一般的な一軒家よりも広い場合や地価の高いエリアに住んでいる場合はもう少し多めに見積もっておく必要があります。
土地の固定資産税の場合、固定資産税の算出の基礎となる評価額は実勢価値の約7割といわれます。
このため、地価の高いエリアほど固定資産税額は高くなる傾向にあります。
算出方法はこちら
家の固定資産税の算出方法は、土地と建物それぞれの評価額に基づいて算出されます。
それぞれ見ていきますと、
土地の固定資産税算出方法:「土地の固定資産税評価額×1.4%」
土地の場合、土地の面積、地価、形状、用途などが考慮されます。
総務大臣が定めた基準に基づき、市区町村はこれら要素を総合的に評価して土地の評価額を算出します。
評価額に対し1.4%の税率が掛けられ、その金額が土地の固定資産税額となります。
建物の固定資産税の算出方法:「建物の固定資産税評価額×1.4%」
一方で建物の場合は、建物の構造、築年数、床面積、設備の有無や改修状況などが考慮されます。
市区町村がこれら要素を基に、建物の評価額を算出します。
土地同様1.4%の税率が掛けられ、その金額が建物の固定資産額となります。
こうして、土地と建物それぞれの固定資産額を合計した額が、家の固定資産額となります。
つまりは土地と建物の両方に対して課税されるため、その合算が家の固定資産税ということです。
各市区町村が定めた固定資産評価基準に基づいて算出されますが、基準は地域ごとに異なる場合があります。
評価額は通常3年ごとに見直されますが、算出方法の詳細や基準は市区町村の税務局などに問い合わせることで確認できます。
軽減措置と制度いろいろ
よく知られている軽減措置のほか、それ以外の制度も諸々存在します。
新築住宅の軽減措置
新築の戸建て住宅やマンションには、固定資産税が50%減額される期間があります。
この減税は新築から3年(戸建て)または5年(マンション)の間続くため、大幅な軽減になるでしょう。
新築の長期優良住宅となると減税期間が5年(戸建て)もしくは7年(マンション)に延びます。
軽減の対象となる住宅は居住部分の床面積50㎡以上で280㎡以下でないといけません。
併用住宅の場合は、実際に居住する部分が全体の半分以上でないといけません。
しかし、これは2022年(令和4年)3月31日までに新築した物件にかぎる制度のため、その後の軽減措置は未定です。
住宅用地の特例
持っている土地を住宅用地として使う場合に受けられる軽減措置です。
住宅用として使われる小規模な土地には、土地評価額の一部が減額され、これを適用すると固定資産税を最大6分の1にまで減額できます。
さらに都市計画税が必要な場合も、最大3分の1にまで減らせます。
耐震改修促進税制
1982年(昭和57年)1月1日以前に建てた家を取り壊し、耐震改修を目的にリフォームをした場合、固定資産税が最大2年間で50%減額されます。
つづいて解説するバリアフリー改修や省エネ改修と違い、減税期間が長くなるのが特徴です。
バリアフリー改修促進税
2007年(平成19年)1月1日以前に建てられた建物をバリアフリー化のためにリフォームした場合、工事完了の翌年から1年間、床面積100㎡相当まで3分の1に固定資産税が減額されます。
減税対象となるリフォームは、リフォームをした翌年の1年間にかぎられる点は注意してください。
省エネ改修促進税制
家の省エネリフォームを2022年(令和4年)3月31日までにした場合、1年間にかぎり、面積120㎡相当の部分まで固定資産税が減税されます。
こちらも減税対象となるリフォームは、リフォームをした翌年の1年間にかぎられます。
また、こちらは適用を受けるための条件がなんやかんや複雑で、以下の条件を全部満たす必要があります。
- 2008年(平成20年)1月1日以前に建てられていること
- 賃貸住宅ではないこと
- 工事後の床面積が50㎡以上、280㎡以下であること
- 工事後の家の床面積の2分の1以上が居住用であること
- リフォーム部分がいずれも2013年(平成25年)の省エネ基準相当に合っていること
- 窓のリフォーム工事をすること
- 省エネ改修工事費用が50万円以上であること
長期優良住宅化リフォーム
長期優良住宅化リフォームの特例措置もあります。
耐震改修や省エネ改修同様、耐久性向上リフォーム工事をし、「長期優良住宅」として認定を受けた場合、
改修工事が完了した翌年度分にかぎり、耐震改修または省エネ改修をした家の固定資産税額からその3分の2に相当する額が減額されます。(2026年3月31日まで)
改修工事の完了後3か月以内に、お住まいの市区町村等に申告する必要があります。
農地への転用
土地を農地として転用する場合、固定資産税が農地課税として課されます。先ほど解説した、
固定資産税評価額×1.4%=固定資産税
この算出方法は宅地であれ農地であれ変わりません。
しかし、更地となった宅地と農地を比較すると、宅地・更地の固定資産税評価額の方が高くなります。
このため、農地に変えることで固定資産税を低く抑えられるというわけです。
農地課税としての税負担をする場合宅地に比べて税率が低いため、結果として税負担が軽くなります。
逆に農地→宅地に転用すると、固定資産税の課税額が大幅にハネ上がります。
農地は固定資産税の減額措置が適用されることが多いですが、以下カラクリで固定資産税がハネ上がるのです。
- 農地を宅地に転用する
- その軽減措置が適用されなくなる
- 結果、税率が上がる
おわりに。専門家との相談のススメ
現実問題として空き家や使っていない土地だとしても、残念ながら固定資産税はついて回り、課せられます。
固定資産税から解放されたい、ゼロにするためには家や土地を売って手放す以外方法はありません。
また、節税戦略について税務署で「どうしたら一番安くなるか、得になるか、どちらの方が自分にとってメリットがあるか」の答えは係員が言ってはいけないことになっているため、原則教えてもらえません。
手続きのやり方や書類の書き方など、答えの決まっている一般的な回答については「教えてあげませんよ」とは言わないので答えが得られるとしても、
残念ながら節税戦略や個々の具体的なケースに対する詳細な対応や回答は得られません。
当サイトでは他人事のようにそこを「税務署で相談しましょう」とは言いません。
税務署で無料相談はできるとしても個々の係員で経験値や知識量にバラつきがある上、基本的な税務情報の提供や一般論に留まるのが常だからです。
何かの手続きなどで市区町村で都度お世話になる際、尋ねたこと以外にも親切丁寧に教えてくれる係員さんもまれに見受けられますが、全員がそうではありません。
だからこそ世の中には税理士などの専門家が存在します。
空き家問題 対策サポートの一環として、当協会も同様に専門家と連携していますので、ぜひ視野に入れ、お困りでしたらご連絡ください!
結果的に固定資産税も安くできるかもしれません!