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2019年6月、金融庁の金融審議会が公表した報告書を発端に、一時期世の中に物議を醸した老後2,000万円問題。
それだけの貯蓄がある人は果たしてどれくらいいるのでしょうか?
そうでなくとも身近な物価は軒並みに高騰し、今後得られる見込みの収入と必要な生活費との大きなギャップは拡がりつつあります。
本記事では生活費を賄うためにできることを追って解説します。
稼いでいるのに。なぜ生活費が足りなくなるのか?
ひと口に生活費が足りないといっても、原因は多岐に渡ります。
日々家計のやりくりを徹底していても欠乏する原因には以下のようなものがあり、
「痛すぎる不慮出費シリーズ」と「ある程度憶測できるシリーズ」をそれぞれ代表格ごとにみていきます。
痛すぎる不慮出費シリーズ
いわゆる不慮出費にあたる代表格です。
事前に推測ができないため、突然発生するとダメージが大きい出費です。
①ケガや病気
これは想定外の出費として大きいです。
気をつけてはいても思わぬ病気やケガ、事故に見舞われることは誰にでもあります。
保険証でいくら3割負担になるからといっても、定期通院が避けられなくなったり、ケガや病気の程度によっては当然負担が積み重なっていきます。
入院ともなると日々の食事代に加え、場合によっては差額ベッド代などもかかります。
また、軽い病状を「別に今生活に支障が出てないからいいや」と放置することにより悪化し、想定外の高額医療費を払うハメになる場合もあります。
この典型例が虫歯などで、放置により病状が悪化した結果、抜歯を余儀なくされる事態になり得ます。
その後「このあとどうするか問題」に直面し、人によってはインプラントなど保険の効かない高額医療費を払う事態すら招きます。
不経済とは思いつつも、かといって健康を回復するために受けないわけにもいかない医療だからこそ、避けられない出費です。
額面次第で高額医療費制度も使えるか確認しつつ、日ごろからある程度出費に対応できるよう、貯金しておかなければいけません。
②冠婚葬祭
急に舞い込んでくる、でも出さないわけにもいかないという意味では冠婚葬祭も不慮出費です。
- 結婚式のお祝い
- 訃報を受けたときの香典代
- 現地に行くまでの交通費
などなど・・・遠方であれば当然その分出費が増えます。
家族全員で遠方に出席となれば往復交通費×人数分になり、場合によってはこれだけでも相当痛いと思います。
”ご祝儀貧乏”という言葉すらあるように、お祝いも不幸も重なると出費はかさみ、家計を圧迫することにもなります。
冠婚葬祭の知らせを受け、先方に失礼のないよう対応するのは社会人としてのマナーですが、
無理してすべてに参加せずとも、本当に親しい友人や同僚、上司など、出席する式を選ぶことはおかしいことではありません。
やはりこれも事前に費用がどれくらいかかるか把握の上、家計と相談の上で決めるとよいでしょう。
冠婚葬祭費用はなかなか節約が難しい項目でもあります。
事があるたびに一時的にどこかから立て替えるのも一つの方法ですが、その都度払うのではなく、毎月数千円からでもあらかじめ貯金をしておくことも有効です。
③修繕費
急にトイレが、水回りが、キッチンが・・・!
こうしたトラブルは突発的に起こります。
水漏れなどの場合日々の生活に支障をきたすため、速やかに修繕する必要が出てきます。
賃貸物件の場合、居住者の管理の問題などにより起こったものでなければ大家さんが修繕費を負担しますが、持ち家で専門業者に依頼となると、まとまった出費になることもあります。
住居に年季が入ってくると経年劣化で必然的に家のあっちこっちが傷んでくる結果、修繕が余儀なくされます。
新たに設備を買い替えたり、点検だけでも十万単位で出ていくことも珍しくありません。
④故障関連
車に家具、家電。案外不慮出費となるのがこれです。
車が故障して修理となると高くなりますが、修理してもあまり長く使えないとなると、いっそのこと買い替えた方がいい場合もあります。
乗っている車の年式が古かったり走行距離も長く走っている場合、
故障部分以外にも劣化している部分が見つかる可能性もあり、修理後にまた別部分に新たな修理費が見つかると、さらに出費が増えます。
車両保険に加入していると修理費用として保険金が下りる場合もありますが、車両保険の種類次第ではカバーできないケースや年式などによっては補償額自体出ても少なくなっていることもあります。
免責金額が設けられている場合は自己負担が要る場合もあるでしょう。
また、修理したとしても今後使える期間が短いことが想定されるのであれば、あえてお金をかけて修理をしないという選択肢もあります。
また、エアコンなどの白物家電が故障したときも、修理費が高くなります。買い替える場合も新規の家電製品を買う場合、相応の出費になります。
今や生活必需品であるパソコンが壊れた場合もすぐに修理なり買う必要があります。自分でできる場合その分コストカットもできますが、内部クリーニングなども定期的に業者に頼んでやる場合はコストがかかります。
このように家具や家電はそれ自体高いだけでなく、使っているうちに急に不具合を起こすこともあり、案外予期せぬ痛い出費になり得るのです。
ある程度憶測できるシリーズ
次に、まとまった痛い出費である程度憶測できるシリーズです。
①出産
おめでたいですが、出産前後は多額の費用がかかります。
妊娠や出産でかかる費用の多くは保険が適用されないため、自己負担となります。
医療機関や地域、分娩方法にもよりますが、出産費用の目安は約50万前後で、状況次第ではさらにかかる場合もあります。
健康保険が適用される帝王切開の分娩費用をのぞき、出産費用のほとんどは全額自己負担です。
国や自治体、健康保険から受けられる助成を使って費用を軽減できますが、妊婦検診費用と分娩・入院代のほか、ベビー用品やマタニティ用品を買い揃えるコストもかかります。
②車検、家賃更新料
毎年払うわけではありませんが、2~3年に1度まとまった費用が出て行きます。
賃貸物件で年間保証料などがあればこれプラス保証会社のコストが年に1度ぐらいのペースであることも加味しなければいけません。
ただこれらはいったん払うとそれを目安にある程度いくらになるか見通しが立つコストでもあるため、月々少しずつでも積み立てて備えておくことで対策を取っておきましょう。
③税金関係
これも納税の義務がある以上、避けられない出費です。
持ち家なら固定資産税、車を持っていれば自動車税など、各税金の納付期限は同時期にやってきます。
1年分の税額を4期に分けて納める固定資産税は通常6月、9月、12月、2月の年4回です。
自動車税は都道府県ごとに若干の納付時期のズレはあるものの、5月中の納付を基本としています。
いずれにしろ税金はよほどの事情がないかぎり、減税が認められません。ただ、毎年の課税が分かっている分、翌年度分の納税分を前もって準備しておくことをおすすめします。
意外と自覚しにくいシリーズ
前述のような大きな出費がないにもかかわらず、日々のムダ出費の蓄積で生活費が欠乏している場合もあります。
あまり意識していない小さな出費も、蓄積するとなかなかの金額を使っていたりします。
この「あまり意識していない」ことこそがある意味ネックともいえるでしょう。
①自販機、コンビニ
お酒やジュース、タバコなど、街のいたるところにある自販機やコンビニ。
最近の自販機ではお菓子やパンなども売られており、便利ですが誘惑に乗り続けると浪費につながります。
私は、毎日小さい紙パックを買ってしまいます。
②利息も吹き飛ぶATM手数料
これもなかなかクセモノです。
手数料は1回あたり数百円ほどで、時間帯等により110円、220円、330円前後といった3パターンが多いです。
330円の場合1か月のうちに何度も払っていたらそれだけで1000円以上になることも珍しくありません。
お金の出し入れに1000円というのも悔しいものです。
利息も吹き飛ぶ手数料です。これをもったいないと感じるか、あまり気にしないかは人それぞれですが、継続的に利用していれば手数料だけでも年間で数万円になることもあります。
やむを得ず使う場合は、以下のようないろいろな対策ができます。
- 手数料がかからない時間帯にまとめて出金する
- 自宅や通勤経路、職場周辺で無料で出金できるATMを複数覚えておく
- ネット銀行でコンビニのATM手数料を無料にする
100円ショップも案外落とし穴に
安くて便利なものがひと通り揃った100円ショップ。
ぱっと見安っぽく見えない、クオリティのいい商品もかなり増え、今や国民のライフライン的存在になりました。
ですが、安価で手を出しやすいだけに、これもなかなか落とし穴です。
100円ショップで本当に必要な商品ひとつのみ購入するのは簡単なようで案外勇気が要ります。
個人的には、レジが混んでいる100円ショップで「これひとつで並ぶのも申し訳ないな」と思い、列に並びながら流れるようにお菓子をカゴに入れたときは恐怖を感じました。
安さと便利さに惹かれて「ついで買い」「衝動買い」をした結果、結局使わずじまいだったということも多々ありますよね。
安いからとついついあれもこれも手に取って買いがちな100円ショップだからこそ、買うと決めたものだけを買う訓練をしてみてもいいかもしれません……。
クレカの年会費
年会費のかかるクレカを持っている人はこれにも着眼してみましょう。
カードにより会費の設定はさまざまですが、年に一度の引き落としの場合が多いため、それほど大きな出費ではないと思いがちです。
近年では年会費無料のカードも増える一方、ステータス性が高く、付帯サービスも充実のクレカもあります。
豪華なサービスがついている場合、年会費が数万円かかることもあります。付帯サービスを多く使いたい場合、年会費がかかってもメリットを感じる人もいるかもしれません。
純粋にクレカ機能のみを求める場合は年会費無料のカードで十分でしょう。
年会費として数千円~数万円払っている場合、その分を他の買い物などに充てることもできます。利用頻度が少ないクレカであれば解約もひとつの手です。
侮れないちまちま出費。これらは自覚しにくいだけになかなかのクセモノで、お店関連は惰性で「なんとなく」立ち寄ることこそがちまちま出費の大元です。
人によっては「コンビニに寄るのをやめただけで月数千円浮いた」なんてことも珍しくありません。いかにちまちま攻撃が物を言うかが分かります。
日々の小さな出費は習慣的にしていることが多く、意外と自覚しにくいものです。ひとたびコンビニや100円ショップに吸い込まれれば何かしら買うでしょう。自販機同様、不用意に近づかないようにしましょう……。
精神的な健康にも注意を
家計を見直した上で明らかなムダは削るべきですが、節約のために切り詰めすぎて精神的にもギスギス…というのは心の健康にもよくありません。
生活費が足りなくなって無理な節約をしたがために起こるストレス(節約疲れ)が、むしろさらなる浪費につながることもあるからです。
やはり心身の健康があってこそ、意義のある選択や決断ができるものです。
節約や多少がまんする訓練も大事ですが、あまり必要以上に自分を追い込みすぎず、必要であれば家族や知人の力を借りたり、公的な制度の利用も視野に入れるようにしましょう。
また実際に、家族や知人以外の人に相談するだけでも気持ちが楽になることもあります。
とはいえ、消費者金融やキャッシングなどの悪徳業者には十分に気をつけてください。
まずは固定費の見直しを
生活費が足りなくなる原因を突き止めたら、次は対処です。
毎月のように生活費の欠乏状態が慢性化している場合は、まずは固定費を見直しましょう。
毎月ほぼ定額で出ていくお金として、次のようなものがあります。
- 住居
- 水道光熱費
- 通信費
- 車両維持費
- 保険料
- 習い事
①住居(家賃、住宅ローン、修繕積立費用)
固定費の中でも高額なため、これの見直しは影響度が大きいです。
賃貸物件に住んでいる場合は今よりも家賃の安い物件へ思い切って引越しを検討しましょう。
このとき、引越し先に税金の安い市町村も視野に入れると節税も同時にできる場合もあります。
引越し貧乏という言葉がありますが、引越し前後に一時的な出費こそ発生するものの、長期的に考えると住居費が安くなる場合もあります。
持ち家で住宅ローンがある場合、家計状況に合わせて繰り上げ返済を検討しましょう。ローン残高が減るとその分払う利息も減るため、繰り上げ返済するとトータルの返済額を減額できます。
②水道光熱費
普段の使い方にちょっと気をつけるだけでも節約できますが、根本から大きく安くするには供給会社を変えたり、今よりお得な契約プランへ変更することです。
電力の自由化により、賃貸・持ち家にかかわらず自由に電力会社を選べるようになりました。
今の光熱費よりいくら安くなるのか、各社のホームページなどでシミュレーションもできます。
併せて、省エネの家電アイテムを使うのもひとつの手でしょう。
ひと昔前と違い、近年では家電の省エネ性能は格段に上がっており、最新家電の消費電力も10年前の製品とは段違いによくなっています。
「まだ壊れてないし、もったいない」という方も、環境省の「省エネ製品買換ナビゲーションしんきゅうさん」も参考に、家電の買い替えも検討してみてください。
先に、家電の買い替えもまとまった出費になる話をしました。しかしながら古い家電を使い続けるよりか、最新家電に買い替えた方がエネルギーの効率がよく、結果として水道光熱費を安く抑えられる一面もあることも、同時にご留意ください。
③通信費(スマホ、プロバイダ料金、サブスクリプションなど)
格安SIMや格安スマホへ変更し、サブスクもよりお得な契約プランに変更するのはいかがでしょうか?
利用頻度が少なければ解約もありでしょう。スマホともども不要なオプションに加入していたらそれも解約しましょう。
④車両維持費
スマホ同様、持っているだけでコストのかかるのが車です。これが家計を圧迫している場合も多いです。
究極的には手放してしまう、持たないことが一番のコストカットですが、なかなかそうもいかない事情もあるでしょう。
地域によって車は生活必需品という場合も多々あるかと思います。今後買い替えを予定している場合は燃費のいい車を選ぶと、ガソリン代が節約できます。軽自動車であれば自動車税も安く上がります。
急発進や急ブレーキをしないなど、燃費をなるべくよくする運転も心がけつつ、ガソリンスタンドでも割引制度を設けているところを使い、給油代を軽減しましょう!
稼働頻度が少なく、年に数回ぐらいしか運転しないのであればいっそのこと車を手放し、難しい場合はカーシェアリングなども検討を。
⑤保険料
医療保険、生命保険、車の保険など、スマホ同様、不要なオプションに加入していないか見直しましょう。
保険加入等時と今では周囲の状況が変わり、希望する補償内容が変わる場合があります。ライフステージが変わるときをひとつの目処に、より安い保険に切り替えられるか、保険の見直しを定期的にしてください。
⑥習い事
入ったはいいけどろくに行っていないスポーツジムや習い事などです……。これらは月に1万円近くかかることも珍しくありません。
これといった目的もなく、ただ惰性で「何となく」続けているような場合は潔く解約もありでしょう。もし家でもできる場合はそうしたり、節約優先の場合はその代替方法を探すのも有益です。
価格高騰の同時多発テロ事件と化している現代では、月に1万円浮かせられるのは大きいです。
こうした固定費は一度見直すと効果が長く、継続的な節約になりやすいため、変動する食費などに比べて効率的にコストを削減できます。
つづいて変動費の見直しを!
それでも家計のやりくりが厳しい場合、変動費の見直しです。
- 食費
- 日用品
- 交際費
- 美容代
- 娯楽費
などなど、これもちまちま攻撃の蓄積で一つ一つは小さな金額でも、月あたりとなるとまとまった金額になります。
これらは固定費と違い、そのときの気分や習慣に大きく影響されるコストです。
一度きりの節約だけでは継続的な効果が薄いため、それぞれのコストにあらかじめ予算の上限を決めておくことが大事です。
さもないといくらお金を費やせるかはっきりしないまま、ついつい「楽しいから」などという気分に振り回され、お金の使いすぎになるためです。
とはいえ生活の中で息抜きの娯楽費などがまったくないというのも辛い話です。家計と自分の心とよく相談の上で予算を設定し、残高を確認しながらムダを防ぎましょう。
また、食費や日用品、ネットショッピングなどでは、あまりセールという文句に踊らされないことも大事です。
セールと聞くと一見通常よりお得に感じがちですが、本当に必要なものかどうか、いったん冷静になりましょう。
また、大幅に値引きしているように見せて、セール以外で買った方がお得というケースもあります。
いずれにしてもよく考えずに買ったものは、あと後での「よく考えたらいらなかった」という後悔につながりやすくなります。
年金や給料以外で生活費を増やす手だて
絞ったら今度は生活費を増やす取り組みです。
ここではお金を増やすための方法を解説しますが、メリット・デメリットを念頭に置き自分に合ったものを心がけるようにしてください。
①副業や単発バイト、短期バイトをする
お金を増やすための手立てとして真っ先にあげられる方法です。
しかし仕事内容によっては専門的な知識が身につくもの・つかないもの、リスクが高い・低いなど、メリットデメリットはそれぞれです。
すぐにお金がいる時に助かるものとして、副業や単発バイト、短期バイト、スポットで働くスキマバイトなどがあります。
案件や会社次第で即時払い、週払いなどがある場合早くお金を手にできます。近年ではスキマバイトなど、初期費用がそれほどなくても隙間時間に働ける案件も増えてきました。
いずれにしても便利で参入しやすい一方、世間でも賛否両論あるとおりリスクもあることは踏まえましょう。
お金を増やせることもある一方、案件によっては収入が増えるまで想像以上に時間がかかったり、どれほど頑張ったところで確実に収入(生活費)が増えるとは限らないものもあります。
明らかに費やす時間と労力の割に合わず、収入保証もされないうえに得られるお金は雀の涙レベルということもあります。
また、プライベートな時間を犠牲にしてオーバーワークやセルフブラック化する場合もあるため、必ずしも最良な手段とはいえません。
②不用品売却
自宅にある不用品をフリマやリサイクルショップ、買い取り店、ネットオークションなどに売って換金する手段です。
今の時代スマホひとつで手軽に不用品も売却できるようになり、フリマアプリなどがその代表例です。自分で値段を設定できるメリットがあり、希少性の高いものは高く売ることもできますが、工夫をしないとそう簡単に売れないこともあります。
リサイクルショップや各種買い取り店で売却する場合、必ずしも希望する金額で買い取ってもらえるわけではありませんが、当日買い取りの場合が多く、すぐにお金が手に入ることはメリットです。
ネットオークションはネット環境があれば誰でも簡単に出品ができます。最終的に落札で価格が決められ、高く売れることが期待できます。
希少性のあるものをより高く売りたい場合向けで、ものによってはまとまったお金になる場合もある一方、
必ずしも売れるわけではないことや、売り上げから販売手数料が差引かれること、お金が入るまでには比較的時間がかかることなどには注意が必要です。
③投資
株式や債券、投資信託などでの資産運用です。
しかしながらこれはギャンブル的な要素も孕み、どれほど話題になっているとはいえ利益を確約してくれるものではないリスクもあります。
このため、増えると見込んで投資したものが価値が下落したがために大損することも多分にあり得ます。そうなると財産を増やすどころかとんでもないムダ遣いダメージにもなりかねません。
資産を増やせる可能性もありますが、あくまでも「可能性でしかない」のであり、将来利益が確約されているのとは違います。
どれほど今ホットな商品であれ、投資とは元来そういうものだということは十分念頭に置き、リスクを把握の上で活用しましょう。
④自宅売却で生活資金ねん出という手も
持ち家がある場合、売却で思い切ってまとまった生活費に充てる手段です。
かつては一度マイホームを買ったら生涯住み続けるという考えが一般的でしたが、近年では老後に家を売り、住み替えも増えてきています。
たとえば老後に住み替えを考える理由には、次のようなものがあります。
- 売却したお金を今後の生活費に充て、ゆとりあるセカンドライフを送りたい。
- シニア向けバリアフリーが考慮された住宅に住み替えたい。
- 子どもが独立したため持ち家を売却し、管理が楽でコンパクトな家に住み替えたい。
一方で、長年住んだ自宅を手放すことで後悔してしまう例もあります。そうならないよう、次のようなメリット・デメリットを把握しておきましょう。
老後に持ち家を売るときに把握しておきたいメリット・デメリット
まずはメリットですが、老後に持ち家を売るメリットは次の4つです。
- リタイア後のまとまった生活費が作れる
- 便利で安全な住居に住み替えできる
- 場所、広さを選べる
- 終活の一環としての「家じまい」ができる
メリット①リタイア後のまとまった生活費が作れる
冒頭でも触れた「老後2,000万円問題」が一時期世間をざわつかせましたが、老後の生活費をどうするかをめぐり、不安に思う方は多いです。
そこで検討のひとつに浮上するのが、持ち家を売却するという選択です。
持ち家を売って賃貸物件などに切り替えることにより、まとまった資金が手に入るため生活にゆとりをもたらすことができます。
また、自宅を手放すことで都市計画税や固定資産税などの税金もかからなくて済みます。
生活に不便な家でも土地の価値が高い場合、税金が高くつくこともあるため、こうした無駄なコストを減らして今後の暮らしを豊かにできる可能性が出てくるでしょう。
メリット②便利で安全な住居に住み替えできる
誰しも年齢とともに体のあちこちに不具合が出はじめ、高齢になると弱った足腰での階段の上り下りもつらくなります。
自宅にたどり着くまでの階段や坂が多いなど、シニアにそぐわない立地や家に住んでいるとケガのリスクも高まります。段差での転倒など、ときには命にかかわることだってあります。
そこで、持ち家を売却して得た資金を元に、シニアに適切な住まいに移ることで安心した暮らしを手に入れる選択肢も出てきます。
バリアフリーを備えた物件であれば段差なく安全に暮らすことができ、老人ホームだけでなくシニア向け住宅であれば同世代が多く暮らしているため、寂しい思いも軽減できます。
いま進みつつある高齢化社会により、シニア向け住宅は需要が高まり、所有者が他界した際も処分しやすいというメリットもあります。
メリット③場所、広さを選べる
現役世代だったときはちょうどよかった間取りも、老後の暮らしにはそぐわないこともあります。
子どもが独立したことにより家族構成も変わり、子どもたちが使っていた部屋が余っているということもよくあるでしょう。
部屋数の少ないコンパクトな住宅に住み替えることで、これまでになかった新たなメリットが生まれます。部屋数が減ることで光熱費がまずコストカットでき、掃除や家全体のメンテ費用やかかる労力も大幅にカットできます。
今後の暮らしに合った場所を選んで住み替えることにより、以下のような具合でより快適で利便性の高い暮らしができます。
- これまでつらかった道中のあの坂ともおさらばだ
- 今度の家はスーパーや病院まで歩いていけるから助かる
- 親戚の家の近くに引っ越すことができた
とりわけ、高齢にともない何かとお世話になる病院は必須になってくるため、必ずしも近ければいいというわけではありませんが、
万一のときに駆けつけられる医療機関が近いかどうかはかなり現実問題としては助かるでしょう。
H3.メリット④終活の一環としての「家じまい」ができる
近年、「墓じまい」「何々じまい」というように元気なうちに身辺整理をするシニア層が増えてきました。
家じまいとは、今の住まいを老後に向けてどうするか考え、行動することです。家族のため自分の死後のことも考えた上、実行する人も増えつつあります。
自分の住まいを手放す家じまいに、マイナスイメージを持つ人も多くいます。
長年慣れ親しんだ自分の家を手放すのはどうしても名残惜しく、コストもかかるため「都度頭をよぎってはいるがなかなか実行できない・・・」という方も多いのではないでしょうか。
しかし家じまいをしないことによって起こりうる問題は意外とたくさんあり、主に以下のようなことがあります。
- 家の老朽化により、暮らしや管理が大変になる
- ゆくゆく誰も住まず、空き家になってしまう(空き家になりそう)
- 家の資産価値が下がり、希望の金額で売れない
家じまいは決してネガティブ要素ばかりではなく、むしろ自分たちの今後の暮らしをよりよくするための前向きな行動です。
「子どもたちに将来あまり負担をかけたくない」という方もいるように、家じまいをすることにより、将来的に家族の負担も減らすことができます。
家じまいの主な方法としては解体・売却・活用のいずれかです。お悩みのときは一人で苦しまず、専門家にご相談の上で判断することもできます。
老後に持ち家を売るデメリット
老後に家を売るデメリットには次のようなものがあります。
- 慣れ親しんだ住まいや環境を手放すストレス
- 荷物を減らすストレス
デメリット①慣れ親しんだ住まいや環境を手放すストレス
これが大きいために踏みとどまる人は多いです。
高齢になってから家族との思い出の詰まった住居を変えることは、心理的にかなり大きな負担を感じるためです。
これは非常にセンシティブな話で、人生の長い時間過ごしてきた家がなくなる=”心の拠り所がなくなる”という寂しさもあり、
誰も住まなくなったからといってそう簡単に売ってしまえというわけにはいかないのも、無理のない話です。
ただ、遅かれ早かれいずれは向き合うことになる問題です。
住み替えてから長年の親しい友達やこれまでのご近所さんといった知人とも離れ、新しいコミュニティに入れないなど孤独を感じる可能性もあります。
手放すストレスをゼロにすることはできずとも、こうした環境の変化がなるべく起こりにくくするよう、転居先を現在の住まいの近くにすることもおすすめです。
デメリット②荷物を減らすストレス
意外と難しい、もっている荷物を減らす問題です。
断捨離は意外と難しく、長年暮らしてきた家には思っている以上の荷物もあり、どれが本当にいるかいらないかを整理する判断力に加え、処分するのも体力が要ります。
断捨離はなかなか心身のエネルギーを使うため、一人で荷物を減らす作業が厳しそうな場合、誰かのヘルプの手をかりて作業するほうがいいでしょう。
不用品買い取り業者もいますが、高齢者を狙う悪徳なぼったくりもあるため十分注意してください。
- チラシでは無料だと謳っていたのに、じつは違った!
- 騙されて思いがけない高額費用を取られた!
など、高齢者の被害も絶えません。
高齢者は返金がされるといっていたのに実際にはされなかったり、家財を勝手に持ち出されたなどの被害ケースもあります。
断捨離は家族や知り合いなど手を貸してもらえそうな人にも相談の上、無理なく作業をしていきましょう。
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おわりに
今回は老後2,000万円問題も絡め、今後の生活費について解説しました。
まとめると、人により生活環境や水準は異なるため、今後の生活費の不足額についても変わってくるということです。
また、今後の生活資金への不安をなくすには、早めに資金準備をして損はないでしょう。
まずは自分たちの現状を踏まえてどうなのかをきちんと考えることが重要です。
自分の状況では今後生活費がどれくらい不足し、不足分の有効なカバー対策を先手で考え、準備していきましょう。
そのために、
- お金・税金の専門家にまずは無料相談したい
- 対策の一環に持ち家売却を考えている
このような方は以下からご連絡お待ちしています。ご一緒に、問題の一歩先に身を置いていきませんか?
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