当協会に届くご相談の中で比較的多い”相談のきっかけ”が「親の介護や施設入所によって相続や実家じまいについて考える必要が出てきた」です。
今回は、実家じまいを考え始めたところ、「この家では売れない」と不動産会社に言われてしまったケースをもとに、以下をご紹介します!
- 売りたいと思った時には売れなかった!相談者Y様の例
- 実家を巡るトラブル例
- 空き家所有者の税金・費用負担増加について
- 家財道具処分の注意点と進め方
実家じまいや不動産の対処について決めかねている方は、当協会にご連絡ください。
「売りたい」と思った時には売れない!相談者Y様の例
東京都墨田区にお住まいの50代女性、Y様。
鹿児島県の実家に住む両親が施設に入所したことにより、実家が空き家となりました。
周辺には親族もいないことから「実家じまい」を考えるようになったものの、何から手を付けていいか分からない状態に。
鹿児島県にある実家を売ろうとしたところ、不動産会社より「この家では売却できない」と告げられたそうです。
実家がある地域は人口が減ってはいるものの、街の中心地にあり景観も良いため、「正直、早く高く売れると思っていた」とY様は話しています。
同じように好条件で、かつ築年数も浅い戸建てはたくさんありました。
ライバルが多い中、売れると期待していたY様の想いは儚く散ったのです。
では、なぜ売れなかったのでしょうか?
空き家は全国900万戸!自分の空き家は売れる?
2023年に行なわれた「住宅・土地統計調査」では、全国にある空き家が約900万戸であると判明しました。
その中でも、住宅に占める割合は13.8%で実に7戸に1戸が空き家の計算!
地方はより深刻で、和歌山県や鹿児島県などの5県では2割を超しているのです。
つまり、空き家が飽和状態にあるということです。
Y様の実家は旧耐震基準の頃に建てられた木造住宅。
数年前から配管や屋根が壊れたままになっていたことで腐食が進み、大きい補修が必要な状態でした。
空き家は、人が住み管理している家より老朽化するスピードが格段に早く、
いざ住もう・売ろうと考え始めた時には遅い……というケースも多々あります。
あなたがお持ちの空き家は、本当に売れるのでしょうか?
- 自己負担額がそこまでかからないはずだった
- トラブルに巻き込まれていないはずだった
このように後悔されている方も見てきました。
本コラムをお読みの方は同じようにならぬよう、一緒に対策していきましょう!
関連コラム
2024年4月1日には相続登記の義務化もスタート
相続登記がされないまま所有者が変わったり、転々とすることにより、所有者が不明のまま対処できない土地や空き家が増加したことが、
空き家問題を加速させる一因となっていました。
それらを放置すると、景観や治安が悪化するだけでなく、災害時にトラブルが起こる可能性もはらんでいます。
「管理不全空き家」や「特定空き家」といい、
- 外壁がくずれている
- 窓ガラスが割れている
- 庭の植物が伸びきっており隣家に越境している
といった、管理不全状態であると判断されると、行政からの勧告を無視した場合に固定資産税の減税措置が解除されてしまいます。
相続登記をしなければ過料も?
相続人は、不動産(土地・建物)を相続で取得したことを知った日から3年以内に相続登記することが義務化され、
正当な理由なく相続登記しなかった場合、10万円以下の過料が課される可能性ががあります。
それと同時に、遺産分割(相続人間の話し合い)で不動産を取得した場合も、
別途、遺産分割から3年以内に遺産分割の内容に応じた登記をする必要があります。
空き家所有者の負担は増えていくばかりです……。
京都市など「非居住住宅利活用促進税(通称:空き家税)」を導入する自治体もあります。
変化は、それだけではありません。
2024年7月からは空き家売却の手数料負担も増加!
相続登記義務化と同年7月以降、空き家の売却にかかる「不動産仲介手数料」が増加しました。
いくら増加したかチェックしたい方は、以下コラムからご確認ください!
認知症になると相続も不動産売却の手続きもストップ
親が元気なうちは、実家じまいや相続についてなかなか話しにくいことですよね。
しかし、認知症が進行すると、相続や不動産売却に向けた手続きが止まってしまうことはご存知でしょうか?
相続や不動産売却は法律行為のため、相続に関わる手続きで「意思能力がない」とみなされ、無効になってしまいます。
法務省では、以下のように言われています。
意思能力を有しない者がした法律行為は無効となること。
意思能力は、行為の結果を判断するに足るだけの精神能力。
例えば、認知症を患って行為の結果を判断することができない者は、意思能力を有しない。
つまり、「不動産売却によって買主に所有権が移転し、売却益を受け取る」ということが理解・判断できない = 意思能力がない ということになります。
「成年後見制度(クリックで厚生労働省のサイトへ移動)」の活用によって法律行為も行なえるようになりますが、
それらには手間や費用がかかるため、あらかじめ対策を行なうことを強くおすすすめします。
- まずは相続対策から始めたい
- 家の所有者が寝たきりや認知症になった
- 被相続人(親)が施設に入所した
このようにお考えの方は以下からご連絡ください。
空き家の方向性が決まったら片付けを進めましょう
お持ちの実家・空き家の方向性が決まったら、家の中にある私財を片付けましょう。
上述のような、不動産売却や解体時には、私財の片付けが必須となります。
家財道具の処分を進めるとともにおすすめなのが、「ジモティー」や「メルカリ」といった、個人間で出品・掲載するサイトの活用です。
「捨てるしかない」と思っても、人の目に触れることにより、欲しい人が現れる可能性がありますので、あきらめてはいけません!!
家財道具の処分にかかる手間や費用もカットできるので、片付けをお考えの方はお試しください。
また、家財道具の処分を専門業者に依頼した場合の費用相場は以下でご紹介しています!
関連コラム
もし、ここまでお読みの方で「どうしても相続自体を放棄したい」といった方は、相続放棄をすることも方向性のひとつです。
相続放棄は2023年にルール改正!
相続放棄は2023年にルールが改正され、それまで曖昧だった「相続放棄後の不動産の管理責任」が、実家の同居人などに限定されるようになりました。
土地など、不動産のみを相続放棄することはできず、被相続人の預金など他の資産も相続できなくなるのでご注意です。
国に土地を変換できる「相続土地国庫帰属制度」もありますが、
更地にした上で管理費用相当額を納める必要があるなど、所有者にとって負担の大きい制度となりました。
相続放棄には様々なルールがありますので、以下ぜひご一読ください。
関連コラム
方向性に迷っている方は、まずご相談ください。
本コラムでご紹介したように、実家・空き家には様々な方向性があります。
不動産所有者である親が要介護者になる前に対策しておくことが一番ですが、もしそうなったとしても解決できるお悩みですのでご安心ください。
当協会では弁護士・司法書士・税理士といった相続に関する専門家も所属しておりますので、相続前から後まで、伴走してサポートすることができます。
少しでもご不安な方は、まず当協会にご連絡ください。